【バークリーサマーセミナー】
以下の、希望に満ちた明るいニュースは昭和六十三年の『広報はままつ』六月五日号の記事である。
浜松が進めている音楽のまちづくりに、一段と弾みをつけるようなうれしいニュース、バークリー音楽大学のサマーセミナーが、新装のクリエート浜松(文化コミュニティセンター)で開催されます。そして、世界一流のミュージシャンである来日講師によるライブやコンサートが予定されています。
見出しには「国際的規模の音楽交流が実現」とあり、セミナーの要項が示されている。これによると、
内容=音楽の基礎理論と専門学科の指導(講義・実技指導)
定員=二百人
学科内容=A.シンセサイザー、B.ピアノ・キーボード、C.ギター・ベース、D.ドラム・パーカッション、E.管楽器(サックス・トランペット・トロンボーン他)
応募資格=高校生・大学生・学校の音楽教育者に限らず、一般の音楽愛好者まで広く全国から募集。高校生から三十歳位までを目安としますが、能力に応じて弾力的に考えています。
バークリー音楽大学は、米国ボストン市にあり、現代音楽のプロを育てる世界でも最高水準の国際的な音楽大学である。同大学では、既にイタリア・メキシコ・アルゼンチンで海外セミナーを行っており、四番目として日本を予定し、クリエート浜松での開催が実現したものである。
セミナーが開かれたのは、七月二十四日から三十日までの一週間であった。『静岡新聞』(七月二十五日付)は、希望者が殺到したがテープ審査をパスした受講生は二百二十名、地元浜松市の九人のほか遠く北海道や九州からもやって来たと伝えている。講義と実技指導には、グラミー賞を受賞したビブラホン奏者ゲーリー・バートンのほか、同大学出身の日本人ピアニスト、マコト・オゾネらスタッフ二十人が当たり、セミナーは成功裡に終了した。
翌平成元年の夏(七月二十三日~八月五日)には第二回目が開かれ、この時は前期・後期に分け期間も二週間となり大規模な催しとなった。こうして、セミナーは毎年の恒例となるかにも見えたが、翌平成二年以後は開催されなくなっている。中止の理由は必ずしも明らかでないが、『静岡新聞』の記事(平成二年九月十一日付)は「地元関係者の間では、ことし一月の東街区開発事業計画の提案競技(コンペ)で同音大が協力組織として名を連ねていた「超高層都市研究」が落選したのが原因―という見方が強い。」と伝えている。東街区の提案コンペは第一生命グループ案(アクトシティ)が入選した一方で、入居テナントの大半を米国ないし米資系の企業・研究機関で構成し、バークリー音楽大学の設置を予定していた超高層都市研究株式会社の案と、日本生命・住友生命グループ案が選外になったという経緯があった。