[アカウミガメの保護運動]

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【アカウミガメ】
 市内の中田島海岸に、ウミガメ(アカウミガメ)が上陸し産卵することは、昔から知られていた。中田島海岸を含む浜松海岸とアカウミガメとが、浜松市教育委員会から市の文化財(天然記念物)に指定されたのは平成二年三月のことである。そのいきさつ・背景などを当時の『広報はままつ』や新聞の記事などによって見る。
 
【浜松サンクチュアリ協会】
 浜松市では、これに先立って昭和六十二年から三年間、市内の自然保護グループ・浜松サンクチュアリ協会に保護と実態調査とを委託してあった。その調査の結果、同海岸には年間に百頭以上のアカウミガメが上陸し、そのうちの半数以上が産卵していることが分かった。これは市街地と砂浜の間が松林で隔絶され、夜は街の照明も届きにくい暗く静かな環境で、満潮時でも冠水しない広い砂浜が残されていることや、アカウミガメの上陸の障害となる岸壁やテトラポットなどが海岸に設置されていないことによるものと見られた。
 文化財指定は、この海岸を守りアカウミガメの保護を一層進めるための措置であった。海岸の文化財指定地域は、馬込川右岸から馬郡町までの約十一キロの海岸線であった。指定に際して市文化財保護審議会が、市の教育委員会に答申した指定理由は、①アカウミガメにとって浜松海岸は主要な産卵地、②市の自然環境を構成する代表的な野生動物、③学術的、文化的価値が高いなどであった。指定されたアカウミガメと海岸は、保護団体などボランティアを中心とする人々の手によって保護されている。
 なお、指定後のこの年の五月六日、前記の浜松サンクチュアリ協会は、中田島海岸においてアカウミガメの新ふ化場(最初のふ化場は昭和六十三年五月)の設置作業を行った。