【中核市】
平成五年二月十九日、首相の諮問機関である地方制度調査会は中間報告で打ち出した中核市制度を四月に首相に提出する予定の答申に盛り込むことを決めた。これを受けて同年三月四日、栗原浜松市長は市議会本会議の施政方針演説で国が検討している中核市に対応していくことを表明した。地方制度調査会は同年四月十九日に中核市制度を設けて、政令指定都市に準じた権限を移譲することなどを宮沢喜一首相に答申した。平成六年一月十日、栗原市長は年頭の記者会見で、政令指定都市にほぼ匹敵する権能が中核市に与えられるなら、当面は中核市の指定を狙いたいとの考えを表明、また、静岡市の天野市長も中核市を目指すことを明らかにした。市だけでなく、民間の市民フォーラム、市議会の新政会も中核市制度の勉強会を開始し、官民一体で指定に向けた取り組みが始まった。平成六年六月二十二日には、中核市の制度を法制化する地方自治法の一部を改正する法律等が成立した。これより少し前の五月には浜松・静岡の両市は中核市指定に向け県に協力を要請し、同年十月一日に浜松市は中核市指定に向けて浜松市中核市推進室を設けた。同七年に入ると県・浜松市・静岡市が中核市への事務移譲についての協議会を開催した。同年八月二十九日に自治省は指定を働き掛けていた全国十二の市に対して指定のための手続きを開始しても差し支えないと連絡した。これを受けて九月二十日に市議会は指定への議決を行い、県議会の議決や県の同意を得て十月三十日に国へ指定を申し出た。同年十二月八日、浜松市ほか全国十一都市(新潟・宇都宮・静岡・富山・金沢・岐阜・堺・姫路・岡山・熊本・鹿児島)が中核市の指定を受け、平成八年四月一日から中核市に移行した。これにより、県から移譲する事務の数は七百件余り、これまで県が行っていた事務を市が行ったり、県からの委任事務が市の事務となるなど、主に民生、保健衛生、環境、都市計画・建設、産業・経済などの分野で移譲された。これにより、市民サービスの迅速化、個性的なまちづくりの推進、都市としてのイメージアップなど、様々な効果が出てくるようになった。