【住民基本台帳ネットワークシステム】
住民基本台帳法の一部を改正する法律が、公布されたのは平成十一年八月十八日であった。これにより新たに十一桁の番号を住民票に住民票コードとして記載することになった。この住民票コードを基に、市町村の区域を越えた住民基本台帳事務の処理、国・地方公共団体に対して本人の確認情報を提供できる仕組みが整った。これを住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)と呼び、この運用が平成十四年八月五日からスタートした(第一次稼働)。これにより、これまで国や地方公共団体への各種申請・届出に本人確認のための住民票の写しを添付する必要があったが、国、県、市をネットワークで結んだため、本人の確認情報が利用できることになり、添付が不要となった。また、平成十五年八月二十五日からはこのネットワークの第二次稼働が始まり、住民基本台帳カードが交付されるようになった。また、全国どこの市町村でも住民票の写しがとれるようになり、転出・転入の特例手続きが可能となった。ただ、この住基ネットは個人情報の保護が十分でないとし、中止を申し入れる政党や団体がいくつか見られた。これに対し市は侵入されない強力な仕組みを設けており、漏洩などの問題が起こればすぐにシステムへの接続を切断するとした。二次サービスの開始により住基カードが発行されるようになったが、写真付きのカードは身分証代わりにもなり、退職者や運転免許証を持たない人にとっては便利になるため普及が見込まれたが、その普及は進まなかった。システム稼働の頃、世界的なコンピュータウイルス問題やハッカーによる漏洩などの事件が起きていたため、住基ネットのシステムの安全性を危惧する声が出ていた。