[ダイオキシンの規制]

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【ダイオキシン 焼却炉の使用禁止】
 ダイオキシンによる環境汚染問題が新聞に載るようになったのは平成に入ってからである。その毒性が青酸カリの一万倍とか、人体への影響として発ガン性や生殖障害があるとか、また、ダイオキシンは人の肺から吸い込まれたり、食物に混じって体内に入ってくるとのことで、多くの人たちを不安にさせた。浜松市がダイオキシンの影響やその発生源、それを発生させないための家庭での役割などを詳細に報じたのは『広報はままつ』平成九年十一月二十日号であった。この中で、二百度から五百度ぐらいの温度でビニール、ゴムなどの塩素系石油化学製品を焼却するとダイオキシンが発生するとし、家庭の焼却炉ではこれらの製品の焼却をしないように呼び掛けた。そして石油化学製品は燃えるごみと燃えないごみに分別して出すように求めた。市立の幼稚園や小中学校でこれまで使用してきた焼却炉は平成十年一月一日から使用を禁止、徹底した分別を行い、焼却は市の清掃工場で行うようにさせた。ダイオキシンの発生源の約八割が都市ごみの焼却場から出ていることから、国は平成九年十二月一日からダイオキシンの規制を始め、平成十年十一月三十日までに焼却施設の改良を求めた。浜松市の南部清掃工場は平成三年から同七年にかけて改修したためダイオキシンの濃度は基準値を下回っていた。北部清掃工場は、平成十四年からさらに規制が厳しくなるため改修が必要となり、同年三月に改修工事を終えた。
 浜松市は平成十一年度の市内のダイオキシン類濃度の測定結果を公表、測定したいずれの地点、施設でも環境基準値を下回り、健康への心配は少ないとした。ダイオキシン類対策特別措置法の施行は平成十二年一月十五日、この前日に浜松市はダイオキシンが発生しやすい焼却炉を持つ事業所の代表者らを招いて新法の周知や指導を行った。市の調査によると市内には千七百八十五事業所に小型の焼却炉があり、このうち新たに規制対象となる焼却炉を持っている事業所は五百四カ所あるという。規制の対象となる事業所は焼却炉の届出とダイオキシン濃度の測定が義務付けられることや、ドラム缶やブロックを積んでの野焼きは県の条例で禁止されていることも指導した。平成十三年五月になって浜松市は平成十二年度のダイオキシン類の濃度が篠原中学校に設置している機器で環境基準値を超えたことを明らかにした。これは、周辺の金属加工工場の小型焼却炉から排出された高濃度の排ガスが原因とされた。この焼却炉が廃止となった後の平成十三年五月に追加調査を行い、濃度が基準値を下回ったことを確認した。