【空中給油機】
平成七年(一九九五)十二月十二日「浜松基地に空中給油機が配備され、航空教育集団司令部と第一航空団が移転することで、実戦基地へと性格が変わる」とマスコミが報道した。すると浜松市はすぐに市民生活部長を航空幕僚監部と防衛施設庁等に出向かせ事実確認をした。この件は同月十四日開かれた浜松市議会の議会運営委員会で取り上げられた。同部長は「防衛庁などによると、空中給油機について現在、検討中の中期防衛力整備計画(平成八―十二年度)に四機導入を提示しているが、配備は白紙の状態で、(報道は)根拠がない。第一航空団の移転などは全く考えてもいない、と否定した」との調査結果を報告した。栗原市長も「寝耳に水。こうした情報は市民にとって大変な問題なので、今後も防衛庁の姿勢について調査を続けていきたい」と述べた(『静岡新聞』平成七年十二月十五日付)。
【浜松市基地対策協議会】
その四年後の平成十一年十一月二十五日に開かれた浜松市基地対策協議会の臨時代表委員会で空中給油機が浜松基地に配備される可能性を念頭に話し合いが持たれ、委員から浜松基地配備の決定前に市として反対表明をすべきとの意見が相次いだ。これに先立ち十一月に防衛庁を訪れた市民生活部の報告は、配備先は地元の意向には配慮するも結局空中給油機が最も有効に活用できる基地を選ぶと答えた、とした。そこで委員らは、AWACSの配備先に選ばれた時には事前の通知がなかった点を挙げ、既にAWACSを受け入れているといる理由で浜松配備に反対すべきなどと主張した。北脇市長はこうした点を全て防衛庁に伝え、慎重に対応することを約束した(『静岡新聞』平成十一年十一月二十六日付)。
平成十四年十一月浜松市長は防衛庁を訪れ、空中給油機の浜松基地への配備は市民の理解を得られないとし、浜松基地を配備先としないよう防衛庁長官などに申し入れた。翌十五年十二月、防衛庁は空中給油・輸送機を小牧基地に配備すると公表した(『航空自衛隊50年史』資料編下)。