地域安全運動

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【地域安全推進員】
 犯罪の急増に対処するため、国は平成六年から安全で住みよい地域社会を実現することを目的に住民・警察・自治体が一体となって犯罪・事故などを未然に防止する地域安全運動を導入した(『静岡県警察史』自昭和五十年至平成十二年)。静岡県では富士・藤枝両警察署管内から始まり、平成七年四月から浜松中央・同東警察署、同八年四月から浜北警察署でも開始された。その活動のリーダー役を担う者が地域安全推進員で、同七年四月に警察と防犯協会から委嘱状を受けた。各交番(平成六年から派出所は交番と改称)と駐在所ごとに選出されたのは浜松中央警察署管内で二百六十九名、浜松東警察署管内では八十九人で、警察・行政と連携の上で、一.地域安全情報の提供、二.パトロール、防犯広報等犯罪被害防止、三.犯罪などに強い居住環境整備等といった地域の自主的安全活動の推進役を担うものであった(『静岡新聞』平成七年四月十五日付)。具体的な活動を市内の佐鳴台の地域安全推進員(定員十六名)で見ると、平成七年六月十日には、体長約一メートルのワニが発見されたという佐鳴湖周辺を交番職員と巡回したり(『静岡新聞』平成七年六月十一日付)、同年十月の全国地域安全運動にちなんで地元スーパーの駐輪場などを回り乗物盗防止を中心に防犯キャンペーンを繰り広げた(『静岡新聞』平成七年十月十三日付)。地域安全推進員の班長になると、定期的に班長連絡会が持たれた。翌八年八月の会では、警察と地域住民が一体となってオウム真理教特別手配者の情報提供や拳銃・覚せい剤の撲滅を申し合わせた(『静岡新聞』平成八年八月八日付)。また、翌九年度になると浜松地区地域安全推進員に女性部が設けられ、十月に浜松駅前で女性を対象にチラシを配布し、車内で痴漢に遭った際の注意点や降車後のストーカー対策などをPRした(『静岡新聞』平成九年十月七日付)。
 
【防犯連絡所】
 平成八年には従来から設置されていた防犯連絡所を、同六年から始まった地域安全活動と連携した運用を図るため、防犯協会が推進する地域安全活動に関し住民の要望・意見等を取りまとめる拠点と位置付け、おおむね町内会および自治会・交番等の受持区単位ごとに一カ所設置することとした(『静岡県警察史』自五十年至平成十二年)。翌九年七月十日浜松中央警察署管内の防犯連絡所責任者の委嘱式が同署で行われた。防犯連絡所責任者は警察と住民のパイプ役と捉えられ、同署の管内には二十八防犯連絡所地区があった。任期は一年、管内では二百八十人が活躍していた(『静岡新聞』平成九年七月十一日付)。