[外国人犯罪の増加]

919 ~ 922 / 1229ページ
【外国人登録者数】
 平成に入りわが国に入国する外国人は急激に増加してきたが、浜松市の昭和五十一年~平成十五年までの外国人登録者数の推移は表4―9の通りである。昭和五十一年を基準に見ると、増加数は同六十一年までは多い年でも二桁であるが、同六十二年以降三桁となり、平成二年は前年より三千百五十八人増え、前年比一・八倍となった。翌三年初めて一万人を超え、同九年一万五千人、同十三年には二万人を突破した。
 
【外国人犯罪】
 来日外国人の増加とともに外国人による犯罪も平成に入ると急増した。静岡県内で発生し犯人が検挙された件数人員(総数)の推移は表4―10の通りである。平成四年から増え始め同七年には千二百三十四件で平成二年の約十六倍となり、急増ぶりがよく分かる。同十年~十二年も千件を超え、特に十一年は千六百八十六件で過去最高であった。刑法犯で毎年最も多いのは窃盗犯で、平成元年から同十二年で一年当たりの平均は、窃盗犯が約八十七%を占めた。そのほかは知能犯、凶悪犯、粗暴犯の順である。特別法犯で毎年最も多いのは入国管理法違反で、同様に十二年間の平均は約八十七%を占めていた。そのほかは覚せい剤取締法違反、売春取締法違反の順であった。
 
表4-10 外国人犯罪検挙状況
総数
刑法犯(合計)
特別法犯(合計)
件数
人員
件数
人員
件数
人員
平成元年
62
50
19
12
43
38
2年
79
71
47
36
32
35
3年
89
82
41
44
48
38
4年
368
237
133
96
235
141
5年
801
312
381
155
420
157
6年
768
421
203
144
565
277
7年
1234
345
905
188
329
157
8年
735
288
374
175
361
113
9年
634
358
175
130
459
228
10年
1080
402
680
206
400
196
11年
1686
451
1231
274
455
177
12年
1226
458
988
281
238
177
出典:『静岡県警察史』自昭和五十年至平成十二年

 
 表4―11は浜松中央・同東署管内の平成六年・十年の状況を示したものである。県内での割合を見ると、刑法犯の件数や人員の数値が高く、特に平成十年の刑法犯の件数は県下の三十六・六%、人員でも二十七・八%を占めた。もっとも市域には県内のほぼ二十七%に当たる約一万六千人の外国人が居住していた。次に犯罪を具体的に見ると、平成六年には在留資格変更許可証印や在留期間変更許可証印を偽造して押なつしたとして日系ブラジル人とペルー国籍の夫婦が逮捕されたこと(『静岡新聞』平成六年七月三十一日付)、繁華街の路上でにらみ合いからけんかとなり、四人を手で殴ってけがを負わせたとしてブラジル人の無職の少年が逮捕されたこと(『静岡新聞』平成六年十二月十九日付)などが新聞で報じられた。平成八年には浜松市内に住むフィリピン人男女が覚せい剤使用容疑で逮捕されたこと(『静岡新聞』平成八年二月二十一日付)、また、平成十年には浜松や豊橋の日系ブラジル人グループがカーコンポ、タイヤ、ホイールなどの部品を狙って車を盗んだ容疑で逮捕されたこと(『静岡新聞』平成十年五月二十三日付)も報道された。
 
表4-11 浜松中央・東両署の外国人検挙状況
罪種
平成6年
平成10年
件数
人員
件数
人員



凶悪犯(殺人・強盗等)
-
-
1
1
粗暴犯(傷害・恐喝等)
3
3
3
4
窃盗犯
38
34
271
57
知能犯
5
1
9
9
風俗犯
1
1
-
2
その他
14
15
5
4
小 計
61
54
289
77
静岡県に占める割合(%)
30.0
37.5
36.6
28.0







入管法
53
31
25
8
銃砲刀剣類所持等取締法
1
1
-
-
外国人登録法
-
-
1
1
覚せい剤取締法
1
-
17
14
麻薬等取締法
1
1
-
-
廃棄物処理法
-
-
1
3
大麻取締法
1
-
1
1
その他
2
1
1
2
小 計
59
34
46
29
静岡県に占める割合(%)
10.4
12.3
11.0
13.5
合計(刑法犯十特別法犯)
120
88
335
106
静岡県に占める割合(%)
15.6
20.9
27.8
21.6
出典:浜松中央警察署・浜松東警察署『浜松地区警察白書』平成6年、浜松中央警察署・浜松東警察署『浜松地区犯罪白書』平成11年より作成

 
【外国人犯罪の対策】
 外国人犯罪の増加に対して行政・企業・警察などは様々な対策を講じた。平成三年十月、浜松中央・同東署と両署管内防犯協会は、市内に在住、または勤務する日系ブラジル人三人を防犯連絡所責任者に委嘱し、警察とのパイプ役を期待した。これは県内では二例目であった(『静岡新聞』平成三年十月十一日・十二日付)。また、外国人従業員の多い企業の中には、外国人の細かな相談事により親身に対応するために社内に専用相談室を設置したところもあった(『静岡新聞』平成五年二月十一日付)。また、同年浜松東署は、市内の四企業に外国人従業員向けの外国人防犯連絡所を委嘱した。四企業(いずれも二十人~八十人の外国人従業員を採用)は社内に正式な窓口と専門の相談員数人を置き、防犯意識向上のための啓蒙活動や生活相談を行った(『静岡新聞』平成五年四月六日付)。同十二年五月、浜松中央署は安全な街づくりのため、外国人二人を外国人防犯相談所責任者として委嘱、外国人と警察との連絡役、そして、生活上の困り事など現状を伝える役割を期待した(『静岡新聞』平成十二年五月二十三日付)。