[消防本部庁舎の改築と消防情報システムの設置]

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【消防本部庁舎】
 昭和六十三年(一九八八)三月、浜松市は市議会で新しい消防本部庁舎の基本構想を明らかにした。それによると、新庁舎は中消防署との合同庁舎で、最新式のコンピュータシステムを導入するほか、防災教育を行える施設づくりを目指すというものであった。敷地は下池川町のこれまでの庁舎に加え、前年に移転した浜松中央署の跡地も加えた五千九百四十平方メートルとし、新庁舎は六階建ての消防本部棟と三階建ての中消防署棟を建設するというものであった。庁舎建築の理由はこれまでの施設の老朽化と手狭なことを挙げた(『静岡新聞』昭和六十三年三月四日付)。
 
【消防防災総合情報処理システム】
 昭和六十三年八月に新合同庁舎の起工式が行われ、平成三年五月二十七日に落成式が行われた。完成した新庁舎は地下一階、地上七階建ての消防本部棟と三階建ての中消防署で、三階部分で両棟がつながる構造になっていた。消防本部棟の三階には県下初の消防防災総合情報処理システムが導入された。これはコンピュータを使い、災害や火災通報があると発生地と周辺の地図が即座に画面に映し出され、同時に出動消防隊が自動選別されて、それぞれの隊に連絡される仕組みになっていた。これにより地図で発生地の確認をする作業などが省け、より素早い出動が出来るようになった。また、近接した地域で複数の火災などが起きた場合でも、それぞれの現場への出動隊が的確に振り分けられ、効果的な活動が出来るようになった。この新システムは落成式より前の平成三年三月一日から稼働した(『静岡新聞』平成二年十一月二十九日、同三年二月二十六日、三月二日付)。また、一階は防災展示ホールとなり、一一九番通報、初期消火、煙避難などを体で学ぶ体験コーナーや火災や地震などへの対応をシュミレーションするゲームなど、子供から大人まで興味を持ちながら防災の知識を学べるようになっていた。
 平成七年三月一日からはこれまでの消防防災総合情報システムに一一九発信地表示システムを組み込み、一一九番通報における火災、救急地点が不明な場合も通報場所が即座にキャッチできるようになった。これにより、消防・救急隊の出動がより早くなった(『静岡新聞』平成七年二月二十四日付)。

図4-19 消防防災総合情報処理システム指令室