【国際理解教育 専門学科】
静岡県教育委員会は昭和六十二年に静岡県教育中期計画を策定、高校教育に関しては、時代に則した新しい高校教育を推進していくことにした。これにはいくつかあるが、その一つは国際理解教育の推進、二つ目は普通科の高校に専門学科を設け特色ある教育を行うこと、そして、職業学科は時代の進展に合わせて新たな学科を設置することなどであった。これらのことは平成の時代に入って次々に実施されるようになった。平成三年四月に浜松北高校にこれまでの普通科を一学級減らし、新たに国際科が設置された。国際科は県の強い要請で開設されたもので、その目的は国際社会で積極的に活躍できる人材の育成で、専門教科は外国語と国際理解からなっていた。外国語は英語のほか、第二外国語としてドイツ語とフランス語を主としたが、中国語やスペイン語なども選択できるようになっていた。国際科発足二年目には第一回シンガポール海外研修が四泊五日で行われ、平成十六年二月にはニュージーランドで一カ月にわたって海外授業も行われた。浜松江之島高校は普通科の高校として開校、芸術コースを持ったことは前述(第三章)のとおりであるが、平成五年四月からは芸術科を設置、音楽と美術の専攻があった。音楽は声楽、ピアノ、邦楽器など、美術は彫刻、油絵、日本画など数多くの専攻が設けられ、専門家の指導を受けられるようになっており、カリキュラム(教育課程)は美大や音大への進学にも配慮されていた。浜松南高校に理数科が設置されたのは平成十五年四月、理系の大学への進学や日本の科学技術の発展をリードする人材の育成を方針に、土曜の補習や夏期の勉強会、校外学習、課題研究など特色ある学科が誕生した。なお、浜松西高校は中高一貫教育に伴い、科学的視点の育成方針があるため、理数科の募集を停止した。
職業高校でも大きな改変が行われた。これまで浜松東高校は生産管理科、営業科、秘書科を置く商業高校として二十年余の歴史を持っていたが、平成四年に普通科併置と学科改編がなされ、情報処理、流通経済の二科を新設、以後次第に普通科を増やしていった。平成十三年四月には情報ビジネス科(二百四十名)、総合ビジネス科(三百六十名)、普通科(四百八十名)となり、普通科が約半分にまでなった。浜松工業高校では平成五年度に定時制課程の学科を改編、同九年には全日制課程の工業化学科をシステム化学科と改称するなど、社会の変化とそれに伴う生徒の多様化に対応することになった。浜松商業高校では平成二年以降たびたび科名の変更や学科の改編があり、平成十二年四月には経理科、情報処理科、国際経済科の三科となった。普通科で大学進学者が多いのは当然だが、職業高校でも次第に大学への進学者が増え、浜松商業高校では平成十五年度の進学は全体の半数を超える約五十三%、就職は約四十六%となった。
私立高校ではさらに個性化が進み、特色ある学科が次々に誕生するが、これは校名変更、男女共学、中高一貫教育と関連があるので後述することにする。