[校名変更、男女共学、中高一貫、特色ある高校へ]

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【校名変更】
 平成六年頃から県内の私立高校では校名を変更する高校が増え始めた。平成八年四月には信愛学園高等学校が浜松学芸高等学校に、同九年度には浜松女子高等学校が芥田学園高等学校に、同十年度には誠心高等学校が浜松開誠館高等学校と校名を変更した。聖隷学園高等学校は平成十二年度に特別進学コース、看護・福祉進学コースなど四コース制を取り入れ、同十三年度から聖隷クリストファー高等学校と校名を変更、大学進学と聖隷クリストファー看護大学との連携を強めていった。
 
【男女共学】
 少子化が進む中、これまで女子だけを受け入れてきた信愛学園高校は平成二年度から普通科にも男子生徒の入学を認め、同じく同九年度に芥田学園高校(中等部は同十年度)、同十年度に浜松開誠館高校が男女共学となった。これに対し男子校として歩んできた興誠高等学校は平成七年度から女子の入学を認め、男女共学となった。これらは時代の流れとか、生徒数が減少を続ける中で男女共学により学校を活性化し生き残りを図る狙いがあったものと解していいだろう。最も話題となったのは浜松市立高等学校である。同校は明治三十四年(一九〇一)に静岡県浜松高等女学校として創立以来女子教育に当たってきたが、平成十三年当時、県内の公立女子校のほとんどが男女共学となったか、男女共学に向けて検討中で、動きがないのは浜松市立高校のみであった。市内の高校で男女共学が進んできている現状から市議会で同校の今後の展望についての質問があり、土屋勲教育長は「広く市民の意見も聞きながら男女共学化の検討を始める」と述べた。これに対し、同校のPTAは共学化に反対意見が多いことを表明したが、浜松市の教育問題を協議する浜松市教育環境懇話会は共学化を推進するとの立場を掲げ検討を重ねた。この結果、男女共同参画社会が進展していること、県内外での女子校の男女共学化、中学生の共学志向の高まり、市議会や市民の考えなどを勘案し、平成十四年十一月十九日に「出来るだけ早期に浜松市立高等学校の男女共学化を推進すべきである」との提言書を土屋教育長に提出した。これを受けて同月に浜松市教育委員会は平成十七年度から共学化することを正式に決定した。
 
【中高一貫教育】
 中高一貫教育はこれまで静岡県西遠女子学園高等学校、誠心高等学校、浜松女子高等学校で行われていた。六三制の発足から五十年目の平成九年六月、中央教育審議会から「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」の第二次答申が出された。その中に、中高一貫教育の選択的な導入を図ることが記されていた。これを受けて同年八月に県教委が行った第二回教育ふれあいフォーラムは中高一貫教育を前向きに検討していくことを表明、その後に出来た静岡県中高一貫教育研究会議の最終報告を踏まえ、平成十四年四月から川根地区と浜松地区の二地区で中高一貫教育を行うことになった。川根地区が周辺の中学校との連携型中高一貫教育であるのに対し、浜松地区は浜松西高等学校に県立中学校を併設するという併設型中高一貫教育を実施する方式となった。連携型の中高一貫教育は全国にかなりの数があるものの、浜松西高校のような併設型は全国で二番目の設置であった。平成十四年四月、浜松西高等学校の一年生は定員二百四十人、新たに設置された静岡県立浜松西高等学校中等部の一年生は定員百六十人でスタートした。学区は県内全域、六年間の一貫教育を通して社会貢献への高い志を持って国際社会において活躍するリーダーを育てることを目的としていた。同年四月八日、私立の浜松日体中学校でも第一回の入学式が行われ、中高一貫教育がスタートした。この中学校は「勉強としつけの学校」をキーワードに、少人数教育と公立に比べ約二割以上も授業時間を増やし、英語教育に力を入れていくという方針を堅持していた。以後、興誠高校、浜松学芸高校、聖隷クリストファー高校も中学校を設置して中高一貫教育を行うようになっていく。
 
表4-12 信愛学園高等学校から浜松学芸高等学校へ
平成元年
普通科に特進コースを新設、進学コース・普通コースの3コース制に。
2年
普通科に美術造形コースを新設。
普通科(電子オルガンコースと美術造形コース)に初の男子生徒が入学。男女共学となる。
4年
特進クラスに代々木ゼミナール・サテラインゼミ、河合塾・サテライト講座の通信衛星授業を導入。
5年
電子オルガンコースを電子音楽科に、美術造形コースを美術造形科に昇格。
7年
学校近接の女子寮が完成。
8年
校名を信愛学園高等学校から浜松学芸高等学校に改称。
難関大学を目指す特進Cコースを設置、特進コースはA、B、Cの3コース制に。
普通科に全国で3番目(県内初)となる吹奏楽コースを設置。
10年
普通科の特進Bコースを特進準Cコースに改称。
13年
特進準Cコースを廃止し、特進Cコースに統合。
14年
普通科に東海地方初の書道コースを新設。
普通科の特進Aコース・普通コースを統廃合し、進学/教養コースを新設。
※この後、中学校を開設、普通科(特進コース)と芸術科(音楽・美術・書道の各課程)に再編する。
出典:浜松学芸高等学校『創立百周年記念誌』より作成

 
 さらに、私立では新しい科、コースの開設や統廃合などが次々に行われ、特色ある高校が誕生していった。表4―12は特色あるコース(科)を積極的に誕生させた信愛学園(浜松学芸)高校の変化の様子を表したものである。
 
【浜松啓陽高等学校】
 なお、浜松経理専門学校はこれまで中沢町で授業をしてきたが、平成九年に三方原台地にある三幸町に高等課程の新校舎が完成、以後、高等学校設置への手続きが行われ、平成十八年四月に浜松啓陽高等学校として開校した。