[馬頭観世音菩薩]

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【馬頭観世音菩薩】
 近世以来、子供の成長を願う住民が拠り所とした仏像に馬頭観世音菩薩がある。その地域の伝統が復活した例は、戦後の昭和六十一年二月に焼失した西鴨江町の花学院が、新たに西見寺として復興し、馬頭観世音菩薩を祀る初午祭りが復活したことに見られる。西見寺と馬頭観世音菩薩立像(松久宗琳作)の復興経緯については第一項で既述した。平成九年三月二日付の記事では、子供を馬に乗せて観世音菩薩堂を回る厄除け祈願の「祈祷乗馬」があり、家族連れでにぎわったと報じた。戦時中は出征軍馬のために馬頭観世音菩薩に祈り、戦後は農家に農耕馬が姿を消したこともあって、子らの成長を願う側面が顕著になったのであろう。
 平成十二年三月十五日付の記事では、洞雲寺(臨済宗方広寺派・神ケ谷町)の金谷義樵住職の主唱で地域住民が協力して馬頭観世音菩薩堂が半世紀ぶりに再建され、「祈祷乗馬」が再現されたと報じている。