【救世軍社会鍋】
キリスト教の各教団が年間計画として、あるいは日常生活において、身近な支援活動を試みているであろうことは言うまでもなかろう。とりわけ新聞記事として表れることから、市民に季節感と共に訴えるものがあろう。社会的にも経済的にも弱い立場の人々に対して注がれる眼差しこそ、伝統的なキリスト教の本来であろう。クリスマスの祝賀行事や歳末の行事など、キリスト教関連の新聞記事のうちでも、救世軍による社会鍋の設営と寄付の呼び掛けは、歳末の繁華街に展開するだけに市民の耳目を引く。なお、社会鍋は日本救世軍の創設者山室軍平(明治五年―昭和十五年)が明治四十二年に開始したもので、廃娼運動、貧民救済、医療保護、職業紹介などの社会改革運動の一環である。
『静岡新聞』平成元年十二月二十四日付の記事(以下、掲載年月日のみ表記)では、救世軍会館(北寺島町)において救世軍浜松小隊(安達かな子小隊長)が恒例の歳末助け合い募金「社会鍋」で購入した生活用品を、市内の生活保護家庭に配布したと報じた。それは食用油、餅、醤油など八品目。百四十世帯分を用意した。また、市内の母子寮を訪問してクリスマスの贈り物をしたという。なお、昭和六十三年の募金実績は五十五万円余。平成元年は六十万円を目標に掲げて、十二月十七日から開始しており、三十一日まで募金を継続するという。
平成十年十二月十六日付記事では、救世軍浜松小隊(田村璋代表)による社会鍋募金が十日から始まったことを報じている。平成九年には合計六十五万四百三十三円が寄付された。これにより路上生活者の援助、生活保護家庭や施設への慰問に充てられた。さらに、平成十年十二月二十四日付記事では、十九日までに約三十四万円が寄付されたので、このうちの八万円で食料、肌着、使い捨てカイロなどを購入し、遠鉄第一通り駅前で路上生活者に贈ったと報道している。