[中心市街地からの大型店撤退]

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 浜松駅前の再開発に伴って駅周辺部には次々に大型店(浜松ショッピングプラザ、メイワン、遠鉄百貨店)が出店した。さらに、平成四年に松菱は大規模な増床を行った。このような相次ぐ出店や増床の背景には、従来の大型店出店抑制による規制強化から規制緩和への商業政策の転換があった。この規制緩和は、日米の貿易不均衡を是正するために開かれた日米構造協議の中で、輸入品を自由に販売できる大規模小売店の出店を規制している大店法が諸悪の根源と批判され、これを契機に進められていった。平成四年一月に施行された第二次改正大店法に続き、同六年五月には法改正や運用改正が行われ規制緩和が進められた。これにより売場面積千平方メートル未満の店舗の出店は事前調整が不要になり、閉店時刻は午後七時から午後八時へ延長、年間休業日数も四十四日から二十四日以上に短縮された。
 
【大型店の撤退】
 駅周辺部における大型店の乱立と、それに伴う過当競争は、大型店の撤退や破産を引き起こしていった(表4―17参照)。平成三年二月、中心商店街のモール街で二十二年近く営業を続けてきた大手スーパー、ニチイ浜松店が閉店した(『新編史料編六』 五産業 史料35)。昭和四十四年九月の開業以来、衣料品、食料品、日用品などの量販店として順調に業績を伸ばし、ピーク時には三十六億円(昭和五十一年度)の年間売り上げがあった。しかし、浜松駅周辺への大型店の出店や郊外型大型店の進出の影響を受け、年間売り上げは大幅に減少してきた。さらに平成六年になると、クレジット販売の丸井が撤退した。丸井浜松店は昭和四十九年八月に出店し、比較的若年層に支持されていたものの、二十年間のテナント契約が切れること等を契機に閉店した。
 
表4-17 中心市街地における大型店の開店・閉店状況
昭和62年7月
浜松ショッピングプラザ(イトーヨーカ堂)開店
昭和63年5月
メイワン開店
昭和63年9月
遠鉄百貨店開店
平成3年2月
ニチイ浜松店閉店、撤退は3月
平成4年1月
長崎屋浜松店撤退
平成4年4月
松菱百貨店新館増築、本館改装
平成6年7月
丸井浜松店撤退
平成6年12月
遠鉄名店ビル閉店
平成9年12月
西武百貨店浜松店撤退
平成12年11月
ザザシティ浜松西館オープン
平成13年11月
松菱百貨店が自己破産により閉店
出典:『毎日新聞』平成13年11月15日付、『新編史料編六』五産業 史料34、35より作成