[大店立地法への移行と郊外型大規模店の急増]

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【大店立地法】
 平成十年六月、従来の大店法に代わって大規模小売店舗立地法(以下、大店立地法)が制定され、同十二年には同法が施行、大店法は廃止された。従来の大店法は店舗面積の規制に主眼があったが、大店立地法では、出店する大規模店は駐車場の整備や騒音・廃棄物の抑制など、環境に配慮すれば、出店は原則自由となった。すなわち、経済的規制から社会的規制の転換が行われたのである。この大店立地法は社会的規制が中心で、大型店の進出が地域に与える経済的影響は考慮されていないため、各地で地元の小売業へ多大なる影響を与える結果となった。また、大店立地法に基づいて出店する場合、郊外の方が配慮する周辺住民等が少なく、地価も安いため駐車場整備費用を抑制できるというメリットがある。そのため、街の中心から離れた郊外に出店するケースが増えた。その結果、多くの地方都市では中心商店街がシャッター通りになり、空洞化が起きた。
 
【イオン浜松志都呂ショッピングセンター イオン浜松市野ショッピングセンター サンストリート浜北】
 浜松においても郊外型の大規模店が急増し、ますます中心商店街は空洞化していった。当地方へ進出してきた大規模店は、イオン浜松志都呂ショッピングセンター(平成十六年八月開店、店舗面積五万六千平方メートル)、カインズモール浜松都田テクノ店(平成十六年七月開店、店舗面積約二万四千平方メートル)、カインズモール浜松雄踏店(平成十六年十二月開店、店舗面積一万七千八百五十三平方メートル)などで、その後も天王町の近藤紡績所社有地にイオン浜松市野ショッピングセンター(平成十七年六月開店、店舗面積三万五千五百四十一平方メートル)、浜北区平口地区へ西友(ウォルマート)を核店舗とするサンストリート浜北(平成十九年七月開店、店舗面積一万九千五百五十三平方メートル)の出店が相次いだ。中でもイオン浜松志都呂ショッピングセンターは五万平方メートルを超える規模であるため、ほかの小売業者へ大きな影響を与えると予想された。
 平成十七年に浜松商工会議所が実施した「大型店出店に伴う地元中小小売業界への影響」に関する調査結果(浜松商工会議所報『NEWing』vol.1516)によると、地元の中小小売業者の約七割が売上げを減少させていることが分かった。また、売上げ減少の要因については、約六割の小売業者が「大型店進出」による影響と回答している。地元商業者からは大店立地法の改正に対する要望も強く出ている。