平成十二年、浜松商工会議所が実施した「消費動向調査」(『NEWing』vol.1350)によると、浜松の商圏が大幅に縮小したことが分かった。浜松の商圏構成は、第一次商圏一市五町、第二次商圏一市三町、第三次商圏三市四町二村、影響圏二市五町の計七市十七町二村から構成されている。商圏の変化を見ると、竜洋町が一次から二次商圏へ移行、磐田市は二次から三次商圏へ、袋井市、森町、浅羽町、大須賀町は三次から影響圏へ、それぞれランクを下げた。また、菊川町と小笠町は影響圏から外れた。これらの変化により、浜松の商圏人口は前回(平成九年の調査)から二万六千一人減の百二十四万九千六百二十二人となった。ほとんどの商圏地域において浜松市での買い物が減少もしくは横ばい状態を示し、浜松市中心商店街の吸引力が低下していることが分かった。この原因は浜松市の中心商店街から百貨店や大型スーパーが相次いで撤退したこと、それぞれの商圏地域に大型店やロードサイドストアが進出したことなどによるものと思われる。消費者の買い物動向のこのような変化の背景には、一世帯一台という自家用車の普及がある。事実、買い物の交通手段は、自家用車が七十七・五%を占め、買い物場所までの時間は車で三十分未満が八割を超えていた。
一般的に「買回品」「贈答品」などは中心商店街への商圏人口を拡大するとともに百貨店や量販店での買い物を増やす品物であると言われている。しかし、表4―18(平成十二年度の消費動向調査)を見ると、中心商店街と百貨店での買い物がいずれも減少しているのに対して、大型店やスーパーでの買い物が増加していることが分かる。このことからも、浜松の中心商店街の地盤沈下が進んできていることが分かる。次に、最寄品の購買動向を見ると、大型店・スーパーでの購入が六割強を占めているが、コンビニエンスストアでの購入も増加傾向にあることが分かる。これは消費単位が家族から個人へ移行しつつあることの結果である。その背景には家族構成員の多就業化に伴う財布の紐の複数化や少子高齢化や未婚者の拡大による家族構造の変化があると思われる。
表4-18 浜松市の消費者の買い物場所(平成12年) (単位:%)
買回品 | 最寄品 | 贈答品 | 外食 | サービス | |
中心商店街 | 2.9(-0.9) | 0.3(-0.1) | 0.8(-0.3) | 7.1(-0.3) | 0.5(-) |
高台商店街 | 4.1(0.0) | 3.3(0.6) | 2.5(0.2) | 6.4(0.9) | 5.8(-) |
地元商店街 | 18.1(0.5) | 19.5(-3.2) | 9.9(-0.1) | 39.0(5.6) | 58.0(-) |
百貨店 | 5.6(-2.5) | 2.7(0.0) | 38.9(-5.5) | 7.7(-2.9) | 1.1(-) |
大型店・スーパー | 59.3(3.6) | 63.3(-0.4) | 40.7(4.6) | 32.7(-1.6) | 30.4(-) |
コンビニエンスストア | 0.7(0.4) | 6.6(3.9) | 0.6(0.3) | 0.7(-2.7) | 0.3(-) |
市外商店 | 4.5(-0.1) | 3.6(-0.9) | 3.8(0.3) | 6.4(1.2) | 3.0(-) |
その他 | 4.7(-0.9) | 0.7(0.0) | 2.8(0.4) | 0.2(0.1) | 0.9(-) |
注:かっこ内は平成9年との調査比。