[繊維産業からファッションの街へ、HFCの設立]

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【浜松ファッション・コミュニティセンター】
 衰退する繊維産業の救世主として登場したのが株式会社浜松ファッション・コミュニティセンター(HFC)である。繊維産業が衰退していく要因の一つに川下業種(アパレルなど)の弱さを指摘することが出来る。そこで、川中業種に特化された繊維産業を生活文化提案型産業へ脱皮させる狙いで浜松繊維リソースセンターを発足させることになった。この事業は、国が繊維構造改革事業の一環として推進し、全国十五の地域に繊維リソースセンターを設置し、東京の中央センターを核に国内外の業界情報をネットワーク化して業界の活性化を図るというものであった。浜松では平成三年三月、繊維リソースセンター構想の事業主体となるHFCが第三セクター方式によって設立された。その活動拠点は浜松商工会議所新会館の八階から十階に置かれた。同社は地域産業の活性化とファッション文化の創造を柱に、情報収集・発信、調査研究、人材育成を行う拠点としての役割を担うことになった。
 
【ファッションの街】
 その後、浜松を繊維の街からファッションの街への脱皮を目指して様々な事業が展開された。浜松市と繊維業界は、ファッションの街づくりを推進するために、①ハママツコレクション、②浜松ゆかたまつり、③TEX・ハママツ、④ハママツファッションフェア、⑤浜松シティファッションコンペといった五つの事業を展開することになった。ハママツコレクションは、浜松で生産されたテキスタイル(生地)をファッション産業の中心地である東京で展示・商談する事業。浜松ゆかたまつりは、注染を用いた浜松ゆかたをPRするために市民参加型のイベントを行う事業。TEX・ハママツは東西の繊維およびファッション関係者を浜松に招き、商談や情報交流を行う事業。ハママツファッションフェアは、新商品の展示や伝統技術・新技術の実演や紹介を行う事業。浜松シティファッションコンペはデザイナーなど業界の一翼を担う人材の育成を図る事業。これらの事業を通じて繊維産業の体質を変えることになった(『広報はままつ』平成十年十二月五日号)。