[農業でのIT活用]

1050 ~ 1051 / 1229ページ
【IT技術活用】
 IT化が社会システムや経済の在り方に大きな影響を与えつつある中で、農業においても、このIT技術を活用しようとする動きが出てきた。農産物の生産と販売の両面でIT技術を利用しようとする動きである。生産面ではインターネットを利用して市況や栽培方法、気象情報などを収集しようとする農家が増えつつある。さらに、生産者自らホームページを開設し、経営システムや栽培品種等を収録したCD―ROMを作成して市場等で配布する事例も出てきた。消費面での活用として、IT技術を農産物の販売促進と直接販売に利用する生産者も出てきた。さらに、Eメールを活用して消費者の要望等に即座に対応できる体制を作り上げた農家もあった。インターネットの利用には、生産者がネット上で直接消費者とコミュニケーションを取れるというメリットがある。それを最大限活用するために、ホームページ上でアンケート調査を行い、消費嗜好を把握し、そこで得た情報に基づいて栽培や経営方針を決める生産者も登場してきた。
 チンゲンツァイの栽培をする農家の事例を紹介すると、他の生産者との交流や消費者のニーズに合った農作物の生産に活用している。マイナーな野菜であるチンゲンツァイのイメージを上げ、消費拡大のためにホームページに着目した。消費者にターゲットを定め、育苗の様子やほ場の状況、箱詰め形態、女性に人気のチンゲンツァイを使った料理のレシピなどをホームページに公開した。さらに、モバイル機器の利用によって、屋外でも情報等の入出力が容易になり、リアルタイムな気象情報、栽培技術や病害虫防除法などを入手できるため、農作業の段取りが向上したとのことである。
 このような個々の農家のIT技術の活用に合わせて、JA静岡中央会はJAグループのホームページの玄関口になる「静岡県のJA」を開設した。さらに、平成十二年十一月JASNET21を立ち上げ、組合員がインターネットに接続できるようにサービスを提供している。農業におけるIT技術は、生産者と消費者の距離を縮め、かつ生産者同士の交流を促進する手段として、その活用が拡大している(JAとぴあ浜松『とぴあ』二〇〇一年三月号)。