環境保全型農業

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 浜松市は農業振興基本計画の中で「農地を計画的に保全したり、化学肥料・農薬使用量を削減したりして、安全な農作物を提供するなど、都市と農業との共生により地産地消を促進」することを掲げ、環境保全型農業の推進に乗り出した。この施策では①環境負荷の軽減、②環境保全型農業を推進する農業者・団体への支援、③生産者・消費者等の連携強化、④循環型社会づくりの推進を図ることなどが挙げられた。環境負荷の軽減では堆肥等有機質資材の適切な投入や地力増進作物や微生物の利用による土づくりの推進、農業廃棄物のリサイクルや適正な処理等により環境負荷の軽減を図ることにした。環境保全型農業の推進では有機栽培に取り組んでいる先進事例の紹介やエコファーマー(堆肥等を使った土づくりと化学肥料・農薬の使用を低減した農業者)への積極的な支援がなされた。生産者・消費者等の連携では、エコファーマー制度により生産した農産物に認証表示を実施し、市民が安心・安全な農産物を選択できるシステムをつくり、農業者と市民が一体となった環境保全型の農業が行われるようにした。循環型社会の推進では、家畜の糞(ふん)尿などの適切な処理と資源としてのリサイクル化、食品廃棄物の堆肥化、リサイクルの推進などが図られていった。
 
【浜松PCガーベラ】
 環境保全型農業への取り組みの事例として、JAとぴあ浜松「浜松PCガーベラ」を見ることにしよう。この団体は平成元年に農家十七戸によって組織され、平成十七年に全員エコファーマーを取得し、環境保全型農業を実践してきた。生産面では①堆肥投入による徹底した土づくりを行い、化学肥料を節減する、②熱水消毒、太陽熱消毒による土壌消毒、黄色粘着トラップ、近紫外線除去フィルムなどによる化学合成農薬の低減、害虫捕獲機の現地実証等によって環境保全型農業を実践した。経営面では環境保全型農業をコスト面から検討し、収益性を明確にした。この団体は七・九ヘクタールの面積で取り組み、平成十九年度のガーベラの年間出荷量は二千八十万本、年間販売額は七・二億円(一戸当たり平均四千二百五十万円)になった。