[減少してきたウナギ養殖]

1060 ~ 1061 / 1229ページ
【ウナギ養殖】
 浜名湖のウナギは全国的に有名であるが、昭和四十三年頃をピークに減少してきた。その理由はウナギの稚魚であるシラスウナギの捕れる場所が静岡・愛知・三重から四国の徳島・高知へ、さらに大分・宮崎・熊本・鹿児島・長崎といった九州地方に移ることによって産地が移動したためである。また、国内の稚魚が不足すると中国やフランスからも稚魚を輸入するようになった。中国の場合は生産コストが安いため、稚魚の輸入から白焼きに加工されて輸入されるケースが多くなった。平成十年以降になると国内において価格の暴落が起き、そのため、浜名湖養魚漁業協同組合の組合員も、ピーク時の四百軒(経営体)から平成十八年には約三十軒に、また、生産量も約六千七百トンから約二千トンに減少した。
 浜名湖沿岸の養鰻業は、長い歴史を持ち、より生産性の高い技術進歩を積み重ねてきた。現在の養殖方法は、従来の露地池養殖からハウス養殖が主流になっている。ハウス養殖では、養鰻池をビニールハウスで覆い、水温や水質を一年中最適に管理することによってウナギの生存率を九十%(露地池では三十%程度)まで高めることが出来た。さらに、独自に工夫した配合飼料を組み合わせ、養殖効率を飛躍的に高めることが出来た。しかし、経済のグローバル化が進む中で、平成十四年には国内消費量の七割が中国や台湾から輸入されるようになった。このような厳しい市場競争の中で生き残るためには、浜名湖のウナギのブランド価値を、さらに高めていく必要がある。そのためには浜名湖産ウナギの品質の維持・向上への努力が必要であると同時に、稚魚であるシラスウナギの安定的な確保が大きな課題となっている(『新編史料編六』 五産業 史料115参照)。