【運賃値下げ】
路線バス事業の規制緩和を見越したバスの利用客増加策として、既述のように平成十年七月には鉄道とバスの運賃値下げを断行した。バスの運賃については、平成二年、平成四年、平成七年の三度にわたって値上げされ、大人の最低運賃(二・三キロメートル以内)は、百五十円となっていた。平成十年の値下げでは近距離区間を五段階に分けて最低賃金(一キロメートル以内)を百円としたものであった。近距離の値下げ区間では利用者が前年比一割強増加した。
平成十一年二月には、短距離利用者との不公平感を是正するため、中長距離を中心に路線バス料金を平均二十円値下げした。この値下げは、距離と運賃の基本的な関係である賃率は変えないで、料金の変わる節目である運賃区界を細かく見直すことで実現した。バス利用者の約二割が値下げの恩恵を受けた。また同年十月からは十九路線の十八・五キロメートル以上の区間を対象に運賃の上限を六百三十円に設定した。平均値下げ率は八・三%、最大では四十三・二%となり、この割引金額は四百八十円にもなった。このような長距離での運賃の上限設定の実施は全国初であった。浜松駅から渋川温泉前まで現行千百十円、同じく袋井車庫から浜松医大までの九百十円などが一律六百三十円になった。遠鉄によれば対象人員は一日当たり千人ほどになるという。この運賃の上限設定はバス利用者確保のために行われたものである。さらに平成十三年四月には十~十八キロメートル区間の運賃引き下げを実施した。
【ICカード対応運賃箱】
なお、平成十六年八月からはICカード(ナイスパス)の全面的導入に踏み切り、同社が保有する三百八十台のバスにICカード対応運賃箱が設置された。