平成に入ると、昭和六十年前後の浜松駅周辺への大型店の進出や大型店の郊外出店等を背景とする中心市街地空洞化への対応を迫られるようになった。平成七年十月、市や浜松商工会議所は、中心市街地活性化と西武撤退(平成九年十二月)後の周辺再開発のために浜松市中心市街地街づくり推進協議会を発足させ、活性化構想をまとめて、その実現を目指した。
【循環バス導入】
こうした活性化構想の一つとして、都心部を周回する循環バスの設置やその具体化についても話し合われた。循環バスについては、既に平成二年に浜松商店界連盟が検討を開始していた。同九年には中心市街地巡回バス導入調査研究会をスタートさせ、市や浜松商工会議所などに協力を呼び掛けた。この結果、平成十二年九月に浜松市長が市議会で循環バス導入構想を明らかにすることで、現実のものとなった。
【循環まちバス「く・る・る」】
平成十三年十月から十二月までの実験運行を経て、平成十四年五月十一日から浜松市の中心市街地で循環まちバス「く・る・る」の西ループが、翌六月一日から東ループが運行を開始した。同循環バスは事業主体が浜松市で、運行は遠州鉄道が行った。コースは時計回りの西ループ(浜松駅発十時~十八時三十分)と反時計回りの東ループ(浜松駅発十時七分~十八時三十七分)の二コースで、いずれも十五分間隔で運行した。運賃は一乗車百円、一日乗車券二百円であった。