【駅北駐車場】
平成元年五月から浜松駅東街区開発事業の一環として建設が進められていた浜松市駅北駐車場が、同二年三月末に完成し、同年四月一日にオープンした。鉄骨鉄筋コンクリート造地上九階十層で収容台数は八百十七台と全国でも最大級の規模となった。これにより、東街区開発事業本格化(アクトシティ浜松建設開始)までの暫定措置として利用されていた駅東第二駐車場は平成三年三月末をもって閉鎖された。
【駅南地下駐車場】
県道路公社は、NTT株式の売却収入を原資とした無利子融資などを基に、平成二年十一月に浜松駅南地下駐車場の起工式を行った。同駐車場は、中心市街地の駐車場不足や駅南地区の活性化を目的に準備を進めていたもので、平成三十五年に市へ移管される予定となっていた。
基礎工事等の遅れにより予定より一年遅れの平成五年十月に収容台数五百二台の、地下駐車場としては県内最大級の浜松駅南地下駐車場がオープンした。しかし、同駐車場は出口が一カ所しかなく、しかも信号のある交差点と隣接していたため出口付近が混雑し、入庫制限を余儀なくされた。このため平成七年五月に新たな出口の増設工事が開始され、同年六月三日から供用を開始した。
【駐車場案内システム】
こうした駐車場の整備と並行して、市は平成二年四月に駐車場案内システムの最終的な整備計画をまとめ、実現に向けて動き出した。同システムの整備は、市が進めている交通管理計画(ゾーンシステム)の一環として、中心市街地を八ブロックに分け、収容台数五十台以上の三十三カ所の駐車場(市内の全収容台数約六千七百台の九十五%を占める)を対象に、空車状況を道路沿いに設置した案内板で表示するなどして、駐車場の空き待ちの車が引き起こす交通渋滞の緩和を図るものであった。
整備事業は、平成三年度から三カ年事業で開始され、同五年四月に一部稼働、同六年四月末から本格稼働した。郊外から中心部に入る幹線道路を中心に、地域ごとの満・空状況を知らせるブロック案内板十二基、駐車場ごとの満・空状況を知らせる詳細案内板三十基が設置された。なお、見にくい、分かりにくいなどの声が多かった詳細案内板の手直し工事も同年八月までに完了した。
平成三年八月に建設を開始したアクトシティ浜松は、一部を除いて平成六年十月に完成し、同地下には千百三十六台収容の駐車場が整備された。また、平成十年十二月には収容台数百九十六台の市営東田町地下駐車場が、平成十二年十一月には六百八十七台収容の市営ザザシティ駐車場が完成するなど、中心市街地の公営および民営駐車場は増加を続けた。
しかし平成三年頃から、中心街の空洞化や平成不況等の影響もあって駐車場の利用は低迷を続けた。こうした対策の一環として、平成七年四月には浜松商店界連盟は浜松中心商店街共通駐車券システム(Pチケ)をスタートさせた。また平成九年二月には、中心市街地で駐車場を経営する民間十四社が浜松市中央地区駐車場協同組合を結成して、商業の活性化と関連付けて駐車場対策の取り組みを強めることになった。
【市営伝馬町駐車場廃止】
一方、市は平成九年十月に公共施設利用者の市営駐車場および公共施設に付随する駐車場の割引を開始した。その後、平成十三年から駐車場の利用は回復したものの、民間駐車場の充実もあって一部の市営駐車場はその役割を終えたと判断された。こうして、平成十三年二月には、市は行政経営計画の一環として市営駐車場の民営化や廃止の方針を決定した。これを受けて、平成十四年十一月には新川中央駐車場の一部を駐輪場へ転換、平成十六年三月には、市営伝馬町駐車場が廃止された。