【交通事故増加】
全国的には昭和五十年代半ばから交通事故発生件数、死者・負傷者数ともにまた増加し始めた。死者数は、昭和五十六年に八千七百十九人まで減少したものの昭和六十三年には再び一万人を突破して平成四年には一万一千四百五十二人まで増加した。しかし、平成五年以降は減少に転じ、平成十五年には八千人を割るところまで改善した。なお、これを年齢別に見ると、昭和五十年代以降、若者(十六歳から二十四歳)と六十五歳以上の高齢者の死者が増勢をたどったことが分かる。若者の死者が平成に入ると減少したのに対して、高齢者のそれは増え続け、平成五年にそれまでトップだった若者を上回るようになった。
こうした事態に政府は、道路交通法を改正するなどして対処した。平成元年に初心運転者期間制度を設け、平成三年七月には違法駐車に対する取り締まりを強化した。また、平成六年五月には指定自動車教習所の制度整備、優良運転手の免許証の有効期間を三年から五年に延長、平成九年十月には高齢運転者標識(もみじマーク)を導入し、翌十年には免許更新時の高齢者講習を義務付けた。さらに平成十一年には、運転中の携帯電話の使用禁止、平成十二年四月には六歳未満の幼児に対するチャイルドシートの義務化、平成十四年六月には、ひき逃げや飲酒運転など悪質・危険な違反の罰則強化が図られた。