[浜松の交通事故対策]

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 交通事故の全国的な傾向は浜松地区にもほぼ当てはまった。平成以降で見ると、事故件数(人身事故のみ)は、平成元年の六千四百九十八件(中央署と東署管内の合計、以下同様)を記録、以後減少傾向を示し、平成九年に四千八百八十三件まで減少したが、その後は増勢に転じて平成十三年には七千件を超えた。この数字は、静岡県の事故件数の約十七%に相当した。事故による負傷者数もこれとほぼ同様の傾向をたどった。
 これに対して浜松地区の死者は、昭和五十年代から六十年代に比べれば大きくその数を減らし、多少ばらつきはあるものの、平成元年~八年までの年間平均約四十人から平成九年~十六年の同約三十三人となった(表4―23)。ただし、浜松市の交通事故の死者に占める高齢者(六十五歳以上)の割合は、年によってばらつきはあるものの、多い年で六割に達することもあった。また、県全体の交通事故の死者に占める浜松市の割合はほぼ一割前後のまま推移した。
 
表4-23 浜松中央署・東署管内の交通事故死者数の推移

浜松中央署
    人
浜松東署
   人
浜松計
   人
静岡県計
   人
浜松/県
   %
昭和63年
28
34
62
394
15.7
平成元年
26
20
46
385
11.9
2年
22
8
30
378
7.9
3年
30
8
38
402
9.5
4年
27
21
48
402
11.9
5年
23
15
38
343
11.1
6年
26
11
37
378
9.8
7年
28
13
41
356
11.5
8年
23
17
40
347
11.5
9年
17
12
29
318
9.1
1O年
15
12
27
287
9.4
11年
35
8
43
359
12.0
12年
27
6
33
308
10.7
13年
21
8
29
307
9.4
14年
21
8
29
269
10.8
15年
28
13
41
297
13.8
16年
20
12
32
277
11.6
出典:『浜松市統計書』各年版より作成
注:平成二年に浜北署開設のため、平成二年以降は浜北署管内の笠井・積志・都田地区の死者数は含まれていない。

 
 浜松市の車両数が平成元年~十六年に約十万台増加したにもかかわらず、既述のように交通事故の死者数は、減少傾向をたどった。これは、全国的な交通安全運動の展開や道路交通法の改正等による法規制の強化を受けて、浜松市交通事故防止対策会議、浜松中央署および同東署が連携して取り締まりや指導の徹底を図った結果でもあった。春、夏、秋、年末年始の全国交通安全運動に加えて、状況や必要に応じて県や市が独自に交通事故多発警報を発令、中央・東両署が緊急対策として指導・取り締まり・パトロールの強化や広報活動を展開した。
 このほかにも、中央署や東署が中心になって交通事故を防止するため、若者や高齢者を対象とした講習会や研修会の開催、高齢者交通安全対策研究会の発足、管内交通事故発生マップの作成と配布を通じた注意喚起、交通事故現場の診断に基づく多発地点の改良等、多様な活動が行われた。