【地区社会福祉協議会】
浜松市は、昭和六十一年四月から市民運動として地域福祉をはぐくむ運動を展開してきた。これは子供から高齢者、障害のある人をはじめ、だれもが住み慣れたまちや家庭で安心して暮らしていける明るく心触れ合う地域づくりを目指したものであった。シンボルマークや福祉標語の制定、市民運動カレンダーの発行など市民意識の向上のための取り組みを行った。平成になってから市民参画による福祉活動が二つのタイプで活発になってきた。一つは、自治会連合会の範囲などを単位とする「地域密着型」の福祉活動であった。これは、地区社会福祉協議会として、平成五年三月二十四日に広沢地区社会福祉協議会、同二十五日に富塚地区社会福祉協議会が市内で初めて設立された。その後、順次結成されていき、平成十六年度末には二十二地区に設置され、それぞれの地域の実情に応じて住民の主体的な参画が活発に展開されていった。平成十二年度から介護保険制度が実施され、ホームヘルパーの需要が多くなってきたことから、平成十三年一月に結成された神久呂地区社会福祉協議会は、同年九月に訪問介護員養成研修三級課程を開催し、地域住民ら三十人全員が修了した(『静岡新聞』平成十三年十一月二十一日付)。
【ボランティア活動】
もう一つは、居住地域は異なっていても、問題・課題・関心の共有をよりどころとした「この指とまれ型」の福祉活動であった。この活動が活発なことも浜松市の特色であった。平成七年の阪神・淡路大震災がきっかけとなり、市内でもボランティア活動が活発になっていった。平成十五年現在、市内には二百以上のボランティアグループ、自助グループ、NPOなどがあり、このうち特定非営利法人として認証を受けているNPO法人は五十一団体を数えていた。これらの活動は、障害のある人の自立や地域社会への主体的参加など、ともすれば地域社会に埋もれがちであるが、何らかの支援が必要な問題への先駆的な取り組みなどもあり、「地域密着型」の福祉活動とは別に重要なものであった。このような二つのタイプの活動は、市民参画による地域福祉推進に欠かすことが出来ないものとなっていった(『浜松市地域福祉計画』平成十六年三月)。