[措置から契約への社会福祉制度の大改革]

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【社会保障構造改革 社会福祉法 浜松市地域福祉計画】
 少子高齢化の進展に伴い社会保障費用の増大は不可避となってきたが、国民の生活水準の向上や需要の多様化に取り組むことも大切となった。しかし、財政事情が深刻さを増してきたため、社会保障に対する国民の需要に適切に対応すること、個人の自立を支援することを基本とし、在宅サービスを重視した利用者本位のサービスを提供すること、規制緩和等を進めることにより民間活力の導入などを柱に平成八年から社会保障構造改革が始まった。具体的な取り組みとしては、介護保険制度の導入や医療制度、医療保険制度、年金制度の見直しなどのほか、平成十年六月には中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会で中間まとめが取りまとめられた。その一つは、サービスの利用者と提供者の対等な関係の確立が図られたことである。施設は利用者にサービスの内容を示し、利用者の同意を得た上で契約を交わすようになっていった。利用者は措置される対象としてサービスを利用するのではなく、自らの意思により施設と契約する対等な関係として位置付けられるようになった。また、個人の多様な需要への地域での総合的な支援、幅広い需要に応える多様な主体の参入促進(民間企業やNPOなども福祉事業に参加できる)、住民の積極的な参加による豊かな福祉文化の土壌の形成など、社会福祉基礎構造改革が順次実施されていった。これまでの社会福祉事業法は平成十二年六月にこれらの改革を踏まえて新しく社会福祉法に改正・改称された。また、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法もこれらの考え方に基づいた改正がなされた。社会福祉基礎構造改革で地域福祉計画の策定が求められ、それにはまちづくりの視点も含めた計画の策定と、公と民との役割分担についての合意形成がうたわれていた。これを受けて浜松市は平成十六年三月に『浜松市地域福祉計画』~誰もが住み慣れた地域で安心して生きがいをもって暮らせる地域福祉社会の構築のために~を策定した。これは、特定の人に対する福祉から、全ての人を対象とした福祉への改革を踏まえ、地域を担う人づくり、地域のネットワークづくり、多様なサービスの仕組みづくり、暮らしを支える環境づくりを柱に計画が推進されていった。