【介護保険制度】
介護を必要とする状態になっても、出来る限り住み慣れた自宅で生活を続けていくことは多くの人々の願いであった。介護保険制度の発足以前の平成九年には、市内には白萩荘など十二の施設に在宅介護支援センター(平成二年四月に白萩荘に浜松で初めての在宅介護支援センターが出来る)があり、介護の相談や必要なサービスが受けられるように連絡や申請手続きの代行などをしていた。当時はホームヘルパー、入浴サービス、食事サービスなど七つの在宅福祉サービスが行われていた(『新編史料編六』 七社会 史料53)。平成十二年四月からスタートした介護保険制度では、在宅での介護サービスを利用した場合はサービスにかかった費用の一割を負担、限度額を超えてサービスを受ける場合は、超えた分は全額自己負担となった。介護保険の実施当初は、旧制度の頃と比べると、通所介護や短期入所の回数が大幅に減ったという苦情もあった(『新編史料編六』 七社会 史料54)。
【在宅介護サービス】
在宅介護サービスは訪問通所サービスとも言われ、居宅サービス事業者の職員が家庭を訪問し、①食事、入浴、排せつの介助や炊事、掃除、洗濯などの日常生活の手助けを行う訪問介護(ホームヘルプサービス)、②訪問入浴介護(巡回入浴)、③訪問看護、④訪問リハビリテーション、⑤デイサービスセンター(日帰り介護施設)などに通い、食事・入浴の提供や日常動作訓練、レクリエーションなどが受けられる通所介護(デイサービス)、⑥通所リハビリテーション(デイケア)、⑦居宅療養管理指導、⑧短期入所(ショートステイ)としての生活介護と療養介護、⑨認知症の状態にあって、要介護1~5を受けたお年寄りが五~九人で共同生活し、家庭的な雰囲気の中で、介護スタッフによるサービスを受けられる痴ほう(平成十八年以降は認知症と事業名称を改めた)対応型共同生活介護(グループホーム)、⑩有料老人ホームなどに入居しているお年寄りも必要な介護サービスを介護保険から受けることが出来る特定施設入居者生活介護、⑪福祉用具購入費や住宅改修費の支給などが行われるようになった。
これらのサービスのうち、痴ほう対応型共同生活介護(グループホーム)は平成十二年四月一日、県内で初めて大山町に花みずきが運営を始めた。介護保険制度発足の日であった。このグループホームはその後急増し、平成十四年は七カ所、同十六年度には十八カ所になった。福祉分野で全国展開している企業であるコムスンも複数のグループホームを開設していた(その後、他法人に事業譲渡)。また、とぴあ浜松農協も介護保険制度が始まった平成十二年四月から居宅介護支援事業、訪問介護事業、福祉用具貸与事業に参入した(その後、同農協は平成二十六年度末に介護事業から撤退した)。このうち、居宅介護支援事業では専任のケアマネジャーが従事し、ケアプランの作成などに当たっている。