【施設サービス】
介護保険による介護サービスは要支援と要介護1―5と認定された人が受けられるが、このうちの施設サービスは原則として要介護1以上と認定された被保険者に給付される。施設サービスには、①食事や排泄などで常時介護が必要で、かつ自宅では介護が困難な高齢者が入所する介護老人福祉施設〔特別養護老人ホーム(平成二十六年度以降は要介護3以上)〕と、②病状が安定し、自宅へ戻れるようにリハビリに重点を置いたケアを必要とする高齢者が入所する介護老人保健施設、さらに、③急性期の治療が終わり、長期の療養を必要とする高齢者のための医療機関の病床である介護療養型医療施設(療養型病床群等)の三種類がある。中でも、特別養護老人ホームは昭和四十八年度の静光園の開設に始まり、昭和時代に十一カ所まで開設され、その後、平成元年度から同十六年度までに十カ所が開設された。
このような特別養護老人ホームの増加は、一人暮らし世帯や、高齢者夫婦のみの世帯など、在宅介護が難しい家庭が増えたことによると思われる。また、介護の担い手であった女性の社会進出が進んだことも一因と考えられる。これらの問題への対応としては、在宅や施設での介護が担える男性の進出が期待された。このような中、介護支援が出来る専門職の育成が急務となり、学校法人聖隷学園が平成四年四月に開学した聖隷クリストファー看護大学は同十四年に社会福祉学部を開設して聖隷クリストファー大学となり、看護やリハビリなどとともに、福祉や介護の専門職の育成に当たっている。ただ、介護職員の待遇が全産業の平均賃金より低く、仕事もきついことから志半ばで離職する職員も出ている状況にあり、この解決が大きな課題となっている。