[保育園の増設]

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【少子化対策 浜松市子育て支援総合計画】
 児童分野では、平成元年に合計特殊出生率が戦後最低の一・五七人となったことから、少子化が大きな社会問題となった。そこで、政府は平成六年に「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について(エンゼルプラン)」と具体的な数値目標を示した「緊急保育対策等5か年事業」を策定し、以降、少子化対策が国の重要な政策課題となった。平成九年には児童福祉法を改正し、保育サービスなどでは、措置制度に代えて親が事業者を選択し契約する仕組みを導入した。平成十一年にはエンゼルプランの修正として、「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について(新エンゼルプラン)」を策定した。さらに、平成十五年には次世代育成支援対策推進法を制定し、それを具体化する計画として、翌年、「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について(子ども・子育て応援プラン)」を策定した。市でも、安心して子育てができるまち浜松を目指して、浜松市子育て支援総合計画を作成した。平成十年に「はままつ友愛のエンゼルプラン」を、平成十四年には「新はままつ友愛のエンゼルプラン」をそれぞれ策定した。
 ここでは、待機児童と保育園の増設の問題について触れたい。なお、育児の問題については第三項「男女共同参画運動の展開」、さらに放課後児童会となかよし館については第六項「子供の世界」を参照されたい。
 
【待機児童 保育士不足】
 神ケ谷町の生命の樹保育園の園長の鈴木康隆は「浜松で待機児童という言葉が取りざたされたのは平成十年頃と思う。保育園に入りたくても定員を超しているので入園できないといった問題が出始め、市でも定員増や保育園を増やすことになった。しかし、いくら定員や施設を増やしても、保育士さんが増えないことや、処遇の悪さや仕事量が増えたことなどから保育士さんが離職し、戻ってこないことの方が問題。マンパワーの問題だ。」と語った。
 
【保育園の新設】
 保育園数と延入所児童数の推移(表4―25)からも分かるように、浜松市では昭和五十六年度に舘山寺保育園と葵ケ丘保育園が設置されて以降、平成七年度のちゅうりっぷ保育園が設置されるまで十三年間、保育園の新設はなく、昭和六十一年度から平成二年度は延入所児童数が減少することもあったが、平成七年頃から延入所児童数は徐々に増加に転じ始めた。市は平成十四年三月に刊行した「新はままつ友愛のエンゼルプラン」の中で、重点施策の一つとして待機児童の解消を掲げ、「平成十六年度までに新たに約五百人の受入枠の確保を図ります」とした。実際には、平成十四年から十六年にかけて五カ所の保育園が新たに開設され、五百七十五人の受入枠の拡大がなされた。市はこのような待機児童の増加の要因として、「出産適齢期の女性人口が減少していくものの、男女共同参画社会の進展や共働き家庭の増加等」を「新はままつ友愛のエンゼルプラン」で挙げていた。平成十年代前半には金融不安やITバブル崩壊なども発生し、景気の低迷が続き、女性が働かざるを得ない経済状態であったことも背景にあったと思われる。
 
表4-25 保育園数と延入所児童数、収容定員の推移
年度
施設数
延入所児童数
(人)
収容定員
 (人)
 公立  私立 
昭和57年度
18
35
51,360
4,880
58年度
18
35
50,948
4,865
59年度
18
35
50,606
4,620
60年度
18
35
50,125
4,590
61年度
18
35
49,347
4,565
62年度
18
35
48,884
4,565
63年度
18
35
49,615
4,485
平成元年度
18
35
49,602
4,485
2年度
18
35
49,920
4,485
3年度
18
35
51,654
4,455
4年度
19
35
51,461
4,525
5年度
19
35
51,888
4,615
6年度
19
35
51,724
4,615
7年度
19
36
53,872
4,660
8年度
19
36
55,383
4,660
9年度
19
36
56,331
4,690
10年度
19
36
58,916
4,720
11年度
19
36
61,433
4,720
12年度
19
36
65,241
4,760
13年度
19
36
67,848
4,940
14年度
19
37
71,822
5,215
15年度
19
38
72,818
5,335
16年度
19
41
74,915
5,515
出典:『浜松市統計書』各年版より作成
注:平成4年度の公立保育園数の増加は、平成3年に浜松市と可美村が合併したため、可美保育園を加えたことによる