ドクターヘリの出動要請が千回を超えたのは平成十四年四月十七日である(平成十四年四月二十一日付『静岡新聞』)。聖隷三方原病院の発表に拠る右の記事では、平成十一年四月からの浜松救急医学研究会が自主運航してきたが、おおむね山間部での要請であった。平成十三年度の実績は、五百十六件、一日平均一・四回。前年度比で約三十%増で、三十一市町村に出動した。市部では、天竜市が八十件、次いで浜北市が七十六件、袋井市が三十六件。郡部では引佐郡が八十一件、磐田郡が六十五件、周智郡が三十二件などである。出動要請機関別では天竜市消防署が約二割に当たる百一件と最も多い。愛知県北部の山間部や東加茂郡にも出動した。患者数は五百三十一人で、脳疾患、心疾患、交通外傷、心肺停止状態などの症例が目立った。出動要請のうち十七%は途中で医師の現場派遣や救命の必要なしと判断されキャンセルとなったという。平成十三年の同病院の上半期(四月―九月)には、「通常外来では死亡していたケース」二十五人のうち、九人が「早期治療ですぐに軽快」または「重症だが入院加療で快方」に向かい退院に至ったという。重症が予想された十七人は治療により中等症、軽症に収まったと公表している。つまり、現場での早期治療の開始が重要であることを強調している。
ところで、平成十一年から同十七年までの聖隷三方原病院の出動回数は、NPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク」の季刊誌、『HEM―Netグラフ』(二〇〇六年秋号、第5号)には(平成年度‒回数)、十一年‒二〇七回、十二年‒二四八回、十三年‒五一八回、十四年‒五六〇回、十五年‒四五五回、十六年‒四九六回、十七年‒五三八回と記されている(先に見た平成十四年四月二十一日付『静岡新聞』の記事では、平成十三年度は五百十六件と記している)。