昭和六十一年六月十六日付の『静岡新聞』は、革新的ながん診断の一歩を踏み出した科学技術が開発されたことを伝えている。それは従来のX線ではなく、光を使い特殊カメラで厚さ一ミクロンごとに細胞の断層写真を撮り、コンピューターグラフィックに再現して、その細胞ががん細胞か正常細胞かを識別する方法が開発されたという。がん細胞の鑑定は熟練医師が顕微鏡下の観察により判断してきたが、右の画期的な方法である細胞核の断層撮影によって、今後は細胞診が可能になったものである。この技術開発は県西部浜松医療センターの室久敏三郎副院長と浜松ホトニクスの藤分秀司らのグループによってなされた。
昭和六十三年五月二十五日付の同紙によれば、浜松医科大学第二外科のグループと浜松ホトニクスとが共同開発して半導体を発光源とするレーザーに着目し、細い血管をつなぐ機械を開発したという。心筋梗塞や足の動脈硬化などの治療に血管をつなぎ、また、胆管、尿管、腸などにも応用できるのではないかと有望視されているという。
また、平成二年七月三日付の同紙には、浜松ホトニクスが開発した生物フォトン撮像装置を応用して、がん研究用の新装置を、国立公衆衛生院と国立予防衛生研究所の科学者が開発した。今後、白血球によるがん細胞破壊の仕組みを解明するのに役立ちそうだと報じられている。