【浜松市楽器博物館】
催し以外の、音楽の街づくりの一環として浜松市楽器博物館が設立されたのは平成七年(一九九五)四月のことである。基本計画を策定したのは平成四年二月のことで、また浜松市が、後にヨーロッパの楽器の展示の中核となるアメリカ人楽器収集家故ロバート・ローゼンバウムのコレクションを購入したのは同年の三月である。それから約三年の月日を経て、平成七年四月九日同館はオープンを迎えた。同館発行の『浜松市楽器博物館概要 2011』(以下『概要』)によって同館の概要を見る。
収集物は、楽器実物資料三千百五十点(ヨーロッパ千六百点、アジア六百三十点、オセアニア百六十点、アフリカ二百三十点、アメリカ二百点、日本三百三十点)、楽器外資料百五十点、図書資料八千五百点、視聴覚資料二千点など。活動としては、常設展・特別展・企画展といった展示活動のほか、レクチャーコンサート・イヴニングサロン・ミュージアムサロンなどの演奏会、講座、講演会、所蔵楽器を演奏したオリジナルCDの制作、図録などの刊行を行っている。常設展について『概要』は、さらに「『世界の楽器を偏りなく同じ目線で平等に展示する』という世界に誇るコンセプトのもと、世界諸地域の楽器を発音原理別(ホルンボステル=ザックス分類法による)、地域別、年代別に展示している。」とあり、「みる・きく・ふれる」をモットーとしていること、また楽器の質感を間近に味わえるよう、原則として展示ケースに入れない露出展示方式をとっていることなどを展示の特徴として挙げている。
同館の入館者数であるが、平成二十三年三月三十一日時点で百三十六万九千七百二十一人を数えている。『概要』では、入館者について「そのうち約7~8割は市外からの入館者と推測され、浜松市楽器博物館が、全国的世界的な博物館であることを示している。」と分析している。