[登録有形文化財]

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【登録有形文化財 浜松銀行協会】
 平成八年(一九九六)の文化財保護法の改正により、その価値から見て保存および活用のための措置が必要とされる文化財建造物を文部科学大臣が文化財登録原簿に登録する文化財登録制度が設けられた。この登録制度は、今までの指定制度に加えて、より幅広く文化財を伝承してゆく道を開いたものである。指定制度が、重要なものを厳選し強い規制で保護を行うものであったのに対し、比較的緩やかな規制の下で文化財の保護措置(伝承・活用)を講じようとする制度である。つまり、国と地方公共団体の指定制度を補完しつつ文化財の保護を図ろうとするもので、当初は登録の対象は建造物のみであった(後に、それ以外の有形文化財も対象となる)。この制度に基づいて浜松市で最初に登録されたのは、浜松銀行協会(旧浜松銀行集会所)で、平成十年十月六日文化庁からの登録プレートの贈呈式が同建物内で行われた。この建物は、浜松市出身の建築家中村與資平の設計により浜松市内で営業する銀行の集会所として昭和五年(一九三〇)に建てられた鉄筋コンクリート二階建ての洋館。面積三百十七平方メートル。白い壁、濃緑のスペイン瓦、半円のアーチ窓などが地中海沿岸の建物を連想させる建造物であった。この建物は平成二十一年からは木下恵介記念館として使われている。当時の新聞に、「登録有形文化財の指定を受けた」というような表現が見られるが、指定と登録は明確に区別されており、「登録有形文化財として登録された」とするのが正しい。なお、同建物は平成二十一年三月二日、市の有形文化財に指定されたのに伴って登録文化財としては登録を消されている。