井伊直政の実母が松下源太郎に再嫁する 翻刻

 
  (井伊家伝記 上 画像30 左五行目)
 
直政公御実母松下源太郎方へ被嫁候事
一直盛公内室并次郎法師御相談にて直政公御実母
御年若故松下源太郎方江御縁付被成候是又直政公
御養育之為に右之通被成候故松下源太郎養子ニ御
成り被成候 権現様江御出勤之節も源太郎宅より
御出被為遊候故松下を御名乗御出被為遊候実父直親
 
  (井伊家伝記 上 画像31)
 
公之事御聞届ヶ之上被驚御聞向後井伊と相改直親
名跡相続可致旨 被仰出候而井伊万千代と相改因茲
松下源太郎方ニ男子無之故中野越後守妻ハ奥山因幡守
息女にて直政公為伯母也直政公実母之為にハ甥
故越後守次男を源太郎又養子ニ致松下之家相続
申候松下志摩守と申候直政公実母源太郎宅にて
遠行井伊谷龍潭寺ニ而取置南渓和尚焼香被成候
法名永護院蘭庭宗徳大姉天正十三年酉八月六
日也右松下家ハ松下源太郎と南渓和尚直政公浜松
ニ而 権現様江御出勤之節御世話仕候由緒相互ニ
失念不致候様ニと之約束にて縦遠国ニ而相果候とても
井伊谷龍潭寺江骨を相送葬申候夫故上州江州三
州遠州掛川ハ猶以松下家ハ代々相替不申候て井伊谷
龍潭寺担那ニ候右の由緒故龍潭寺釣鐘者松下
志摩守寄進にて則鐘之銘ニ大担那松下志摩守
一定と有之候故今以松下源左衛門井伊谷龍潭寺と
師担断絶不致候事也