金澤隆
「新編弘前市史」編纂事業は、平成元年に市制施行一〇〇周年記念事業として開始されたもので、昭和三十八年・三十九年に、市制七〇周年記念・市庁舎新築記念として『弘前市史』二巻が刊行されて以来、約四十年ぶりの市史刊行事業となりました。
事業開始から多くの調査・研究が精力的に行われ、その成果は「資料編」として刊行して参りましたが、このたびようやく待望の「通史編」を刊行する運びとなりました。
歴史とは今日の社会と昨日の社会、さらには明日の社会とのつきることのない対話である、と言われます。二十一世紀という新しい世紀を迎え、新しい時代にふさわしい「弘前」のまちづくりを押し進めていかなければならない私たちにとって、弘前のまちがどのような歩みを続けてきたのかを知ることは、過去を知ることにとどまらず、現在何をするべきか、さらには未来に向けての指針や教訓を学び取ることに他ならないと考えます。
わがまち「弘前」は、藩祖津軽為信公が高岡の地に町割りを計画したことに始まり、以来先人たちの営々とした努力の結晶として今日の姿を見るに至りました。それら数々の努力を知ることは、明日の社会を築き上げるための知恵と力を生み出すものと確信しております。このような思いから、この市史が市民の皆様に広く親しまれ、くり返し読まれる本となることを念願してやみません。
末筆になりましたが、監修していただいた乕尾俊哉先生、編集委員長の森山泰太郎先生をはじめ、執筆していただいた各先生方、ご協力いただいた皆様に深く感謝申し上げ、ごあいさつといたします。