表29 中学校未就学・長期欠席の状況 (23.2.1) | ||||||||
(1)未就学・長欠生徒数 | (2)未就学・長欠の理由別生徒数 | |||||||
郡市別 | 未就学数 | 長欠数 | 計 | 原因 | 未就学数 | 長欠数 | 計 | |
上北郡 | 78 | 235 | 313 | 家事手伝 | 161 | 697 | 858 | |
北郡 | 53 | 189 | 242 | 貧困 | 33 | 165 | 198 | |
南郡 | 55 | 168 | 223 | 父兄の無関心 | 110 | 149 | 259 | |
西郡 | 3 | 134 | 137 | 勉強嫌い | - | 58 | 58 | |
東郡 | 22 | 158 | 180 | 通学困難 | - | 56 | 56 | |
下北郡 | 51 | 100 | 151 | 校舎不完全 | - | 22 | 22 | |
中郡 | 36 | 81 | 117 | 性行不良 | 1 | 36 | 37 | |
三戸郡 | 9 | 89 | 98 | 住所不明 | 3 | 10 | 13 | |
八戸市 | 5 | 78 | 83 | 精神薄弱 | 9 | 21 | 30 | |
弘前市 | 10 | 35 | 45 | 身体虚弱 | 8 | 86 | 94 | |
青森市 | 5 | 33 | 38 | 計 | 325 | 1,300 | 1,625 | |
計 | 327 | 1,300 | 1,627 | |||||
『弘前市教育史』下巻より | ||||||||
(注)両表の計は一致しないが、そのままとした。 |
この数字によって、青森県は「長欠、未就学生徒数全国一」の汚名を着せられるのだが、県教育委員会では各市町村教育委員会や、地方教育事務所を通して、長欠者と未就学生徒の登校を督励するよう指示した。しかし、就学や出席を強要することは、貧困家庭の労働力を奪いかねない事情もあり、学校側も苦悩した。
学校側では家庭訪問用の自転車を備え、職員は空き時間や放課後に欠席者の家庭を訪ね、生徒の出校を促す一方、もっと学校に関心を持つようにと、思い切って授業のレベルを下げたり、女生徒には裁縫中心の学習を計画したり、「魅力ある学校づくり」に努める学校もあった。
中津軽郡の中学校では、長欠のほかに農繁期の欠席者が多く、どの学校も七〇%前後の出席率であった。各学校とも出席率向上に躍起となるが、なかには、いったん登校後の早退は出席と認めた学校もあって、腰に剪定(せんてい)ばさみを吊(つる)した作業衣姿の生徒が、農作業に出かける途中学校に立ち寄るのを「出校早退」として出席率を稼ぐこともあったという。
表彰制度も出席率向上のためにとられた一方法である。中地方教育事務所管内では、昭和二十七年三月、千年中学校、船沢中学校、相馬村舟打鉱山中学校(舟打鉱山の閉山とともに廃校)がそれぞれ出席率九七%を挙げ、優良校として表彰されている。船沢中学校では出席率向上に格別力を入れ、昭和二十四年度と二十八年度にも表彰を受けたが、二十八年度のときは特に好成績で、県教育長、県教委連合会長、時事通信社、県教職員組合など、関係各方面からの表彰があった。同校の二十八年度の年間出席率は九九・八六%と高く、六月と一月は一〇〇%、他の月もすべて九九%以上という立派なものである。