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〔秀峰岩木山〕
麓に広々とした扇状地を抱き、これを取りまくように環状の丘陵地が発達している。この丘陵地は岩木山の形成に深く関与している。一方、弘前市街地は、南方に扇頂部を持つ扇状地上に展開していて、北西端には弘前城が位置している。
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〔岩木山北東麓に位置する十面沢円頂丘群〕
泥流堆積物からなる流れ山とも言われているこの円頂丘群は輝石安山岩質溶岩及び同質火砕岩からなり、岩木山より古い噴出物と考えられている。写真上は巌鬼山神社近くの南砕石場で、赤褐色角礫凝灰岩(※印)の上下に安山岩質溶岩が見られ、十腰内石として採石されている。写真下は弘前実業高校農場近くにある砕石場跡地で、ここにも角礫凝灰岩が見られる。
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〔十和田湖〕
二重式カルデラといわれる十和田湖は、湖面の標高が400m、湖岸の周囲44km、面積60km2であって、日本第3位の深湖である。外側のカルデラは、宇樽部川流域の低地帯を含めるとほぼ方形をなし、カルデラの南東岸近くには爆裂によって形成された中湖がある。-327mの最深部を有する中湖は西側に中山半島、東側に御倉半島、突端に御倉山が位置する。後方には岩木山を望むことができる。
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〔五戸川上流二の倉ダム〕
外側カルデラ形成に関与した火砕流からなる丘陵地上に、中湖の形成に起因する火山灰層が旧地形に沿って縞模様を成して堆積している。Hpf:八戸浮石流凝灰岩(約1万3,000年前)/NA:二ノ倉火山灰層(9,000~1万年前)/Nb:南部浮石層(通称〝ゴロタ〟、8,600年前)/Cu:中掫浮石層(通称〝アワズナ〟、5,000~6,000年前)
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〔碇ケ関村古懸〕
約1万3,000年前に十和田カルデラ(外側カルデラ)に起因する火砕流(古懸浮石流凝灰岩)が平川流域を流下した。流域沿いに比高約20mの火砕流台地を形成している。火砕流中には、流下時に取り込んだ樹幹が炭下した状態で含まれている。この火砕流の直下には、碇ケ関カルデラ内に堆積した湖成層(写真右が碇ヶ関層)が堆積している。
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〔弘前市鬼沢の春日橋〕
前萢川は住吉軽石流凝灰岩からなる大地を流れる。凝灰岩中に含まれる炭化した樹幹(写真右は拡大部分)は3万6,000~3万7,000年以上前の年代を示している。
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〔阿闍羅山から望んだ津軽平野〕
大鰐山地を源とする平川は、後カルデラ丘としての阿闍羅山の裾野を通って平野に達する。本流である岩木川とは、河口から約50km上流の弘前市三世寺において合流する。十和田火山起源の火砕流凝灰岩は、少なくとも2万8,000年前と1万3,000年前の2回にわたって平川及び浅瀬石川流域を通って津軽平野に達したものと考えられる。弘前市街地及び津軽平野下でのボーリング資料等で確認される浮石凝灰岩はそれらと同質ではないだろうか。
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〔黒石市の高清水山から望む〕
浅瀬石川を挟んだ対岸の平賀丘陵地は、主にカルデラ外青荷凝灰岩、六萬平層、八甲田第2期火砕流堆積物(田代平溶結凝灰岩に相当)などからなり、かなり開析されている。丘陵地縁辺部に分布する扇状地には黒石市、尾上町、平賀町などが位置している。
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〔大鰐町鯖石〕
田代平カルデラに起因する田代平溶結凝灰岩で、約40万年前に黒石及び大鰐方面へと流下し、火砕流台地を形成している。「さば石」と呼ばれ、石垣や墓石に利用されている。
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〔青森市岩渡の青森市ごみ埋立最終処分場〕
田代平カルデラに起因する2層の火砕流堆積物が見られる。下位は鶴ヶ坂層、上位は田代平溶結凝灰岩であって、鶴ヶ坂層の風化帯を挟んで堆積する。
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〔黒石市法峠における六萬平層〕
潮流口に形成された三角州堆積物の特徴を持つ。ほかにラグーン環境を示す堆積物も見られる。約40~65万年前の堆積物と考えられている。
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〔大釈迦峠付近の大釈迦層〕
主に斜交葉理の発達した砂岩及び凝灰質砂岩からなり、浅海性の堆積物である。大釈迦層の上位には鶴ヶ坂層(非溶結の軽石質凝灰岩)が乗っている。
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〔平賀町浅井川流域の白岩〕
優白な軽石やガラス片からなる海成の軽石凝灰岩で、弘前盆地南東縁に円弧状に分布している。
考古
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大森勝山遺跡出土旧石器
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十腰内遺跡出土壺形土器(縄文後期)
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十腰内遺跡出土鉢形土器(縄文後期)
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十腰内遺跡出土浅鉢形土器(縄文後期)
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十腰内遺跡出土動物型土製品(イノシシ)(縄文後期)
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砂沢遺跡出土香炉形土器(縄文後期)
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砂沢遺跡出土注口土器(縄文後期)
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砂沢遺跡出土土器(弥生前期)
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砂沢遺跡全景
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蕨手刀(熊野奥照神社蔵)
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中崎館遺跡全景
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上段:野脇遺跡発掘状況
下段:野脇遺跡SD07出土木製構築物
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