私たちの郷土「弘前」は、藩祖為信公が計画し、二代藩主信枚公の時代に築城と町造りが行われました。以来、津軽弘前藩の城下町・津軽地方の中核都市として、麗峰岩木山を仰ぎ、清流岩木川とともに三百八十余年の長い歳月を経て発展して参りました。その歴史を綴った『弘前市史』2巻が、市制70周年記念・市庁舎新築記念として刊行されたのは昭和38年・39年のことでありました。
今回の『新編 弘前市史』全11巻(ほかに普及版及び小・中学生のための副読本)の刊行は、平成元年の市制100周年記念事業の一環として計画されたものであります。『弘前市史』刊行以後の学問研究の成果や新分野を含め、平成11年度完結予定という極めて長期間にわたる一大文化事業であります。
このたび、漸く「資料編1」の刊行をみることになりました。この巻は「考古編、古代・中世編」ということで、その学問的性質から、必ずしも「弘前」市域に限らず、津軽地方全域を包括する内容となっております。また『資料編』ということで、市民の皆様に気軽にお読みいただく内容ではないかもしれません。後日刊行されます「通史編」の基礎的作業であることをご理解いただければ幸いと存じます。
今回の刊行に当たり、監修者であります乕尾俊哉先生をはじめ多くの先生方には、お忙しい本務のほかに、編集・執筆またはご協力を賜わりましたことに厚く御礼申し上げますとともに、広く市民の皆様のご愛読を御願い申し上げ「刊行のことば」といたします。