〔大沢(1962)による岩木火山形成史〕

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 3期に区分され、その噴出物は下位から古期成層火山*26、新期成層火山、寄生火山*27、中央火口丘及び火山砕屑岩に区分されている。
第1期 古期成層火山を構成する岩石は、岩木火山の最下部を占め、浸食の進んだ深い谷に沿って分布するのみである。安山岩質火山角礫岩及び同凝灰角礫岩等から成り、安山岩溶岩を挟む。
第2期 古期成層火山を覆う新期成層火山は、岩木火山の本体を構成するものであり、山頂から中腹にかけて分布している。安山岩溶岩を主とし、同質凝灰角礫岩を挟む。後に、新期成層火山体の山頂において崩壊・陥没が起こり、直径約1kmの円形火口ができ外輪山が形成された。火口から北西、南西、南東方向に外輪山側壁溶岩が流出し、また南麓の小森山、西麓の鍋森山・笹森山等の寄生火山も誕生した。
第3期 岩木火山の山頂に、粘性の大きい石英安山岩から成る中央火口丘が形成された。中央火口丘の形成は、前後2回の噴出で生じたもので、最初に御倉石火口丘が、その後直径約300mのドーム状の岩木山(狭義)が出来上がったものと考えられる。現火山体が誕生した後に、末期的活動としての爆裂活動(水蒸気爆発)が相次ぎ、山腹に十数か所の爆裂火口が形成され、このときに火山砕屑物を噴出させたと考えられる。特に、通称「十腰内小丘群」は、泥流堆積物の末端にしばしば見られる泥流丘*28であると主張し、1888年の磐梯山の泥流噴火に匹敵するほどの規模と類推している。そして、歴史時代を迎えて30回近い小活動を繰り返し、1863年の活動を最後に休止し今日に及んでいる(宮城,1971)。