〔鈴木(1972)による岩木火山形成史〕

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 大沢(1962)の「古期及び新期成層火山」を新期岩木火山に対比させ(宮城、1971)、それ以前の火山活動を古岩木火山によるものであると主張し、岩見(1962)も岩石学的な検討から支持している。以下、鈴木の見解を記す。
(1)古岩木火山
 更新世中期に、現火山体の中心付近を噴出の中心として成長した成層火山で、現火山体よりもやや大型であったと推定される。古岩木火山の中央部は、湯ノ沢断層に代表される環状断層群(半径約5.5kmの円弧状正断層)の形成に伴い、山麓に対して相対的に沈下した。そのために、山麓部が幅2~4kmの環状丘陵地帯を呈し、まるで火山体を城塁のように取り囲んでいる。
(2)新期岩木火山
 古岩木火山体の荷重沈下に伴って生じた環状凹地内で、新期岩木火山の活動が開始した。溶岩と火山砕屑物の噴火による新期火山体の成長は、更新世最末期まで継続した。火山体形成の末期には、笹森山などの寄生火山(側火山)が生じ、また特に東半麓には火山麓扇状地が形成された。