38.田代平溶結凝灰岩Ⅳ)(たしろたいようけつぎょうかいがん)

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 中川ほか(1972)の命名によるが、ここでは中川(1972)の再定義による。模式地は、黒石市長谷沢付近。田代平カルデラの形成に関係し、八甲田火山群に先立つ最古期の火山活動による噴出物で、八甲田・十和田火山群の周囲一帯に広く分布する。岩相は、暗灰色~灰色を呈する無層理の軽石質火山灰流凝灰岩である。大鰐町鯖石に見られるように局部的に溶結していて、「さば石」と呼ばれ石垣や墓石等に利用されている。特徴として、両錐形の高温石英を多量に含み、重鉱物組成では磁鉄鉱・普通輝石・紫蘇輝石・角閃石から成り、この順に多い。噴出時期はK-Ar年代*47等により40万年前としている(村岡・長谷,1990)。模式地では、基盤の第三系を不整合に覆うが、井戸沢礫層と整合*51関係にある。浅瀬石川上流の葛川付近では、最大層厚60m以上。
 備考:久野ほか(1953)の先八甲田軽石流、内藤(1966)の秋田県小坂付近の長土路凝灰岩、小高ほか(1970)の長谷沢凝灰岩、村岡・長谷(1990)の八甲田第2期火砕流堆積物に相当する。