十和田火山の噴出物は、溶岩・角礫凝灰岩・火山灰流凝灰岩・降下火山灰などから成る。その分布範囲は、青森県南~南東部及び岩手県北部・秋田県北東部にわたり、面積約6,700km2に達する。十和田火山の発達史は久野(1953)が最初であるが、ここでは生出・中川・蟹沢(1989)に基づいて記述する。
第1期活動は、玄武岩質安山岩溶岩・安山岩溶岩・降下火山灰・火砕流凝灰岩から成る。層厚は120m以上。この時期に1~数個の火口丘が形成された(天狗岱火山灰層上半部~高館火山灰層下部に対比)。
第2期活動は最盛期に当たり、膨大な量の軽石・火山灰を放出、十和田カルデラが形成された。3~4枚の軽石流凝灰岩から成る。層厚は約120m。この時期の軽石流凝灰岩には、大不動浮石流凝灰岩(23,000~26,000年前)・八戸浮石流凝灰岩(約12,700年前)がある。平川流域では、それぞれ駒木浮石流凝灰岩(約28,000年前)・古懸浮石流凝灰岩(約13,000年前)に対比される(山口,1993)。
第3期活動では、約10,000年前に十和田カルデラ南部に新期火山が形成された。中山崎溶岩(玄武岩質安山岩から成る)と上位の五色岩火山角礫岩から成る。層厚は約100m。その後、瞰湖台浮石(東麓域では南部浮石と呼ぶ。約8,600年前)・中掫浮石(縄文時代前期ころ)などが噴出した。この時期の爆発的噴火により、新期火山の山頂部に中湖が形成された。
第4期活動では、約2,000年前に十和田b降下火山灰が、約1,000年前には十和田a降下火山灰が堆積し、また毛馬内浮石流が流下した。この後、御倉半島突端に石英安山岩から成る御倉山が形成され、十和田カルデラの全容が完成した。