58.藤倉川層Ⅲ)(ふじくらがわそう)

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 大沢(1962)の命名によるが、ここでは北村ほか(1972)の再定義による。模式地は、相馬村藤倉川流域。弘前地域南西部の山岳地帯全域にわたって分布する。岩相は、主に緑色凝灰岩から成る。異質礫を多量に含み、花崗岩・緑泥石化した軽石・安山岩・流紋岩のほか黒色頁岩の角礫をも含む。植物化石を含む3層の炭質頁岩を挟むほか、石炭層・赤褐色細粒凝灰岩・緑色緻密凝灰岩・火山礫岩などを挟む。模式地では、下位より雑色角礫凝灰岩・火山礫岩・含植物化石凝灰質シルト岩・緑色砂質凝灰岩の順に重なり、下位の尻高沢層とは整合漸移の関係にある。シルト岩から、Dryopteris sp.、 Pinus sp.、 Glyptostrobus europaeus (Brongn.)、 Metasequoia occidentalis (Newb.)、 Thuja protojaponica Miki、 Comptonia Naumanni (Nath.)、 Quercus (Cyclobalanopsis) nathorsti Krysht.、 Quercus (Cyclobalanopsis) sp.、 Castanea ungeri Hr.、 Carpinus subyedoensis Konno、 Celtis shimizui Fujioka、 Ulmus longifolia Unger.、 Zelkova ungeri (Ett.)、 Magnolia sp.、 Sassafras funauchiensis Fujioka、 Liquidambar sp.、 Rosa sp.、 Acer spp.、 Camellia sp.、 Alangium aequalifolium (Göopp.)、 Diospyros miokaki Hu et Chaney、 Cornus sp.、 などの植物化石を産する(藤岡,1961)。
 備考:金谷(1949)の藍内川層中部、井上・酒井(1960)及び岩佐(1962)の藤倉層、大沢(1962)の藤倉層上部及び黒石沢層の一部を含めたものに相当する。