1.N1(前期中新世中期-中期中新世前期、22~15Ma*5)

46 ~ 46 / 649ページ
 N1には台島植物群の出現に示されるように気候の温暖化が認められ、また日本海側では火成活動が急速に拡大し、本格的な海進*6が開始する。
 前半のN1a(22~18Ma)のころ、日本海側の火成活動の拡大とほぼ同時期に太平洋側では海退*7が起こる。この時期の水平圧縮応力場は島弧に平行していて、日本海側には島弧に平行する湖盆*8や堆積盆*9が形成され、対馬やフォッサマグナを経由して海水が流入する。
 後半のN1b(18~15Ma)には日本海側の海域が拡大し、各地で火山性湖盆や基盤にオーバーラップ*10しながら海成層が堆積する。N1b後半には、堆積盆が沈降して深海化していく。依然として、日本海側の火成活動が活発で、流紋岩やソレアイト*11が大量に噴出している。なお、西南日本の沿岸にはマングローブ林が繁茂し、八尾(やつお)-門ノ沢(かどのさわ)動物群*12が生息する。この時期の圧縮応力場は、西南日本では島弧*13に平行し、フォッサマグナを境として東北日本では斜交している。