東北地方北部の弥生文化に関する研究は、伊東信雄を嚆矢(こうし)とし、氏によって縄文時代晩期終末の大洞A’式に続いて、谷起島(やきしま)式(岩手県一関市谷起島)→志藤沢(しとうさわ)式(秋田県南秋田郡若美町)→田舎館式(本県の田舎館村垂柳)→常盤(ときわ)式(岩手県水沢市佐倉河)土器という編年が提起された*147。その後、伊藤玄三によって新たに発見された資料を追加し修正がなされた*148。一方、本県では橘善光による編年が次のように試みられた。(弥生中期)五所式→二枚橋式→宇鉄式→田舎館式→(+)→(弥生時代後期)念仏間(ねんぶつま)式→鳥海山式→烏間(からすま)式*149、近年は、(弥生時代前期)砂沢式→五所式・二枚橋式→(弥生時代中期)宇鉄Ⅱ式・井沢式→田舎館式→(弥生時代後期)念仏間式→天王山式(鳥海山式)のほか、(1期)砂沢式→(2期)五所式・井沢式・二枚橋式→(3期)宇鉄Ⅱ群→(4a期)田舎館2群→(4b期)垂柳Ⅲ群→念仏間式・大石平Ⅰ群→鳥海山式・大石平Ⅵ群2類という編年も考えられている*150。
図21 弥生時代の遺跡・遺物
完掘りした2号水田跡…弘前市・砂沢遺跡
遠賀川系壺形土器…
南郷村・松石橋遺跡
(南郷村歴史民俗資料館蔵)
遠賀川系甕形土器破片…
弘前市・砂沢遺跡
遠賀川系壺形土器…
名川町・剣吉遺跡(青森県立郷土館保管)
砂沢式(二枚橋式系)甕形(広口壺形)土器…弘前市・砂沢遺跡
五所式台付浅鉢形土器…弘前市・砂沢遺跡
宇鉄Ⅱ式末広口壺形・甕形土器…
三厩村・宇鉄Ⅱ遺跡
(青森県立郷土館蔵)
天王山系甕形土器
弘前市・砂沢遺跡