4.弥生時代の住居跡

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 青森県における弥生時代の住居跡は、現在のところ当該時代の前期(Ⅰ期)と後期(Ⅳ期)に属するもので、すべて竪穴住居跡であり、それらを表14に示した。
表14 青森県における弥生時代の住居跡
遺跡名土器形式名住居跡番号平面形大きさ
m
面積
m2
炉跡の構造柱穴数周溝備考
前坂下(3)砂沢式1楕円5.60×4.7015.00石囲炉主柱穴 4
壁柱穴12
あり炉石は抜去されている
瀬野二枚橋式9.80×9.5071.28地床炉主柱穴 4
その他14
ありⅢ期にわたり拡張・建て直し
大石平(1)念仏間式12楕円6.38×5.5825.05地床炉11なし
13a5.40×5.2019.52石囲炉19
8本は壁面
なし炉石抜去
炉2基
18楕円6.96×5.8030.86地床炉15なし
20楕円4.65×4.305.47地床炉9なし
22楕円5.95×4.3016.81地床炉
石囲炉
9なし炉は3基あり地床→石囲→地床炉
23楕円4.70×3.6012.89石囲炉10なし
西山念仏間式16.10×5.8024.70地床炉5なし
2楕円6.80×6.0030.60地床炉12なし
八幡砂沢式126.30×3.50地床炉
2基あり
主柱  5
45
あり
4条
3回の拡張か,遠賀川系土器も出土
風張(1)砂沢・二枚橋式17.00前後地床炉13なし田舎館式も出土している
26.14×5.60地床炉
2基あり
43
主柱穴 4
なし遠賀川系土器も出土している
36.16×5.88地床炉26
主柱穴 5
なし砂沢式が多い
4不整円4.96×4.62地床炉23なし砂沢式が多い,中央部削り取られる
53.53×3.20なし3あり
78.70石囲炉17あり
13不整円9.40×8.89地床炉40あり
378.00なし123なし
385.30地床炉21なし
54円または楕円攪乱により不明なし15あり
57大半が調査区外のため不明調査区外に大半は延び,他の住居跡にも切られ不明なし100あり4回の拡張も考えられる
63大半が調査区外のため不明調査区外に大半は延び,他の住居跡と切り合っているなし4なし

 表からも分かるように、弥生時代の住居跡に関する調査の数は少なく、研究は進んでいない。特に中期の宇鉄Ⅱ及び井沢式土器期と、後半の田舎館式土器期(東北大学の須藤隆によるⅡ期とⅢ期)、並びに天王山式土器期(同Ⅴ期)に関する分野はその感が強い。
 提示した表14を基に見ると、現在までに発見されている23軒は、平面の形態(プラン)が円形または楕円形であり、本県はこれらの形態が主流であったのだろう。炉跡は、ほぼ中央部に設置されているものが多く、構造は地床炉が多数を占め、次いで石囲炉である。柱穴については、主柱穴が4ないし5本であり、中には小柱穴が40から100を超えるものもあるが、拡張ないし建て替えのための増加であろう。
 弥生時代の住居跡は、縄文時代の住居跡に比べて発見数が少ないため、当該時代の住居についての論述は、今後の資料の増加を待ちたい。