我が国の鉄生産の技術は、5世紀後半以後中国大陸から朝鮮半島を経由して入ったとされている。それ以前の弥生時代においては、朝鮮半島からの製品輸入に依存しているが、この時期の本県での出土例はない。しかし、5世紀後半のものについては森ヶ沢遺跡(天間林村)の土壙墓群に伴い十数例発見されており、この時期以後相当量搬入されているが、鉄生産関連遺構が検出されるのはこれまでのところ平安時代に入ってからである。
特に、岩木山麓を中心とした地域においては、東日本の中でも卓越した形で鉄生産遺構群が発見されている。この時期は10世紀前葉以後であり、この後の製品出土数は飛躍的に増加する。