羽口には、精錬炉用のものと鍛冶炉用のものがある。杢沢遺跡で見ると、前者は精錬炉周辺から多く出土し、形状には先端がラッパ状に開き15cmほどの短いものと、先端が逆に先細りになる20cm以上のやや長いものがあるが、断面形状はかまぼこ型となっている特徴がある。後者は鍛冶跡から出土したもので、形状は円筒型が多く断面が円型の特徴がある。
図30 古代の製鉄用羽口
鉄滓には、製鉄炉から出される製錬滓と、鍛冶遺構から出土する鍛冶滓とがあり、更に製錬滓は炉内滓と炉外滓とに分類される。炉内滓が板状であるのに対し、炉外滓は飴が凝固した棒状の違いがあるが、いずれも鉄分がほとんどなく磁着しない。一方、鍛冶滓には碗形滓や鍛造剥片と呼ばれるものがあり、わずかに磁着する。
鍛冶工具としては、台石(杢沢遺跡)・鉄鉗(鳥海山遺跡)・金槌(古館遺跡)・たがね(山元遺跡・古館遺跡)がある。