鉄を素材とするものには、武器・武具をはじめとして馬具・農具・紡績具・漁具・工具・調理具など日常生活のほとんどの面に及んでいる。特に、津軽地方において鉄生産が始まる10世紀代からは飛躍的に増加する。武器・武具には直刀・蕨手刀・山刀・刀子類のほか、刀の鍔や締金具などの刀装具類、あるいは鎧の小札(こざね)などの武具類がある。しかし一般集落内では刀子類以外はまれに出土するにすぎない。
農具や機織り具には、鍬先・鋤先・鎌・苧引金(穂摘具様鉄器)・鉄製紡錘車がある。
漁具としては、鉄製釣針・錯(さく)・銛がある。
このほか、量は少ないが馬具や煮沸具としての鉄鍋もある。
図31 古代の鉄製品
図32 平安時代の鉄製品(1)
図33 平安時代の鉄製品(2)